2022年4月10日(日)。
坂東グラウンドを囲む沢山の桜の木々は、葉桜となって東京和泉シニアを迎えた。乾いた土の上に落ちた無数の桜の花びらは、つい一週間ほど前までは見事に咲き誇っていただろうことを容易に想像させた。降り注ぐ強い日差しは初夏の香りすら漂わせ、暑さに慣れていないが故の熱中症を心配したが、そんな我々指導者の不安を他所に選手達は今日も所狭しと白球を追った。選手達の野球を楽しむ姿を見るのはこの上ない喜びだ。
ただ、昨日と今日の練習では選手達への不満も沸いた。
夏の大会まで残り1カ月。「残り少ない時間を無駄に出来ない」と話して練習に入ったが、打撃練習時の準備が不足し開始が遅れた。バントエリアやティー打撃エリアにボールが用意されていない。コーチ陣に指摘されないと気付かないという時点で、勝利に向けて選手達の足並みが揃っていない証明である。そして同時に指導者やお父さんたち大人の手に頼り過ぎている。我々は選手達により充実して野球に取り組んでもらえる環境を提供出来るように最善を尽くす所存だが、一体全体誰のための練習なのか?自分達が上手くなりたいから、勝ちたいから練習するのではないのか?先週代表決定戦に敗れ関東大会出場を逃したことをどう思っているのか?足りないところを補ってもらう為に大人の手を借りるのは仕方ないが、本来選手達がやるべき準備を怠り「誰かがやってくれるだろう」と甘えていたのでは野球なんて上達するハズがない。毎週バッティングピッチャーを投げてくれるコーチがいて、マシンにボールを入れたりティー上げをしてくれたりするお父さんがいて、選手達の安全を見守るお母さんがいる。色々な人が皆の中学野球を支えてくれている。そこに感謝の気持ちを持って自分達のやるべきこと、出来ることはやはり自分達自身でやらなくてはいけない。やってもらうことが当たり前になってはいけない。
私は中学生に「野球というスポーツをただ純粋に楽しんで欲しい」と心の底から想っている。だから過ぎた規律は求めていない。チームのルールを沢山つくって選手達をがんじがらめにしたくない。勝利を目指した時に、「勝つ為には最低限こういうことはチームとして守らないと勝てないよね」と選手達自身が気付き、暗黙の了解のように自然発生的に生まれる規律こそ本物である。まだ中学生なんだから出来ないことが多くて当たり前。沢山失敗していいし、少々だらしのないところがあっても目をつぶっている。生意気ぐらいが丁度いい。ただ反面、モラルを持って行動出来る人間になって欲しいと願っている。「線が引かれないと行動出来ない」…では寂しいしつまらない。
土曜日の秋ヶ瀬練習では防球ネットをグラウンドから少し離れた倉庫に閉まってあるから、お父さん方のご厚意により道具車で運んでもらっている。それは大人にしか出来ないのだから仕方ない。しかしその他の練習準備を怠ったのは、とてもじゃないがモラルある行動とは言えない。夏の大会に勝利する為にはどうしたら良いか?改めて一人一人が真剣に考えて充実した一ヶ月を過ごして欲しいなと思う。
来週は二手に分かれての活動になる。城北ブロック大会では強豪東練馬シニアさんと試合が出来るし、新一年生にとっては初めての対外試合になる。楽しみしかない。