2022年6月26日(日)。
夏季東東京支部大会1回戦 対荒川シニア 荒川シニアG。
土曜日、日曜日と最高気温が35℃を超える猛暑日となった。「観測史上初」という言葉が連日メディアを賑わし、6月としては記録的な暑さの中での活動となった。「今年の夏は暑くなる」と予報されていたが、「もう始まったか…」とゲンナリした。
土曜日には秋ヶ瀬に日本スポーツエンターテイメントの山野内さんと佐野さんに来訪して頂き、トレーニング説明と体力測定を行ってもらった。18年ものあいだ中学生の野球に携わっているが、腕立て伏せが1回も出来ないとか、でんぐり返しが出来ないとか、ちょっと唖然としてしまう野球少年達の現状に違和感を抱き続けていたが、社会問題にもなっていると聞き腑に落ちた。オール沼南の林監督にご紹介頂き柏の葉野球場で説明を聞いた時からすぐ取り入れたいなと思った。猛暑日だったが説明会は風の通る木陰で行われ、選手達にとって良い休憩にもなった。
体力測定はお父さんやお母さん方にもストップウォッチやスケール、そして記録表を持って手伝って頂いた。私も自分の身体の現状を知りたく全ての種目に挑戦した。50m走では最後の5mで足が縺れて転びながらゴール。運動会の親子リレーで張り切って転んでしまうお父さんのソレと全く一緒。「俺は絶対にそうならない」と思っていたのに、41歳にしてもうなってしまった。記録は6.8秒だったから「意外と走れているな」とも思ったが、何とも情けない気持ちになった。
選手達は今回の体力測定で出た記録を受け止め、自宅でトレーニングをして自分の弱点を克服していって欲しい。2ヶ月に一回行われる測定で自分の身体がどう変わっているか、また変われることの楽しさも実感してくれたらなと思う。
日曜日は3年生が夏季東東京支部大会、1・2年生がオープン戦と分かれて活動を行った。私は3年生と帯同し24期生が全員揃う最後の大会に采配を振るった。結果は5対10で敗戦。怪我や体調不良による欠席で理想としていた布陣で臨めず私としては悔いの残るゲームとなった。
この試合は3年生の良いところと悪いところがハッキリと試合で現れた。3年生はみんな比較的身体が大きく、強くバットを振れる力を持っている。その代わり不器用な選手が多く守備力に課題を持つ。この試合でも10安打を放っているし、特に今村が打ったホームランは圧巻だった。5メートル以上は吹いていただろう向かい風を切り裂いての柵越え。あの逆風でホームランを打てる中学生が全国に果たして何人いるだろうか?私の感覚では10人いないと思う。これだけの打力を秘めている選手達にはやはり魅力がある。その代わりやはり走塁でいくつも勿体ないアウトを献上してしまっているし、「走者を出塁させ進塁させ生還させる」という攻撃の目的に応じた打撃が出来ない。野球を理解すればもっと得点出来た試合だったと言える。
そしてやはり何と言っても守備力。慣れないポジションで試合をすることになってしまったとはいえ、1試合に7失策ではどうやったって勝てない。この試合の我がチームの5得点はある程度打って「奪った」モノだが、10失点の大半は我がチームのミスで「献上した」ものである。ここは3年生が自覚をして、今後高校へ入学するまでの時間で少しずつ克服していって欲しい課題だ。
もう一つは体力。今日も試合の前半は先制しリードしていた為、良い雰囲気で試合も出来ていたが、後半はバテてしまってグラウンド内でもベンチ内でもポジティブな声が発せられなくなってしまっていた。猛暑日の中での試合で条件が悪かったとはいえ、それは相手チームも同じハズだが荒川さんは最後まで集中力を維持して戦えていたと思う。野球には身体的なスタミナと心のスタミナ、この両方が必要である。野球の試合は長い。オリンピックの正式種目から外されてしまう要因の一つにもなっている。それにはプレーが起きていない「間」が多く存在するからだ。その「間」で次どうするかの「ネクストプレー」を常に考えていないといけない。これを怠ると自然とミスが起きるし、心のスタミナが切れるとこの考えることが出来なくなってしまう。エラーが多くなって劣勢になり、守る時間が長くなってしまった後半はそれが顕著に現れた。
やっぱり野球も人生も上手くいかない時にどう立ち振る舞えるかが大切だと思う。上手くことが運ばれている時というのは誰だって楽しいし笑顔でいられる。だけど上手くことが運ばれないことの方が圧倒的に多くて、そんな時にどれだけ歯を食いしばって踏ん張れるかが人として問われる部分だと思う。エラーをして落ち込んだり、それを引きずって打席で覇気が無かったり、打たれて不貞腐れたり、自分の結果に左右されてそれが態度に出てしまうような選手はなかなか活躍することは出来ない。自分の結果が悪かったらチームの勝利に貢献する為に他にやれることは無いか、打撃で貢献できなければ守備でファインプレーしてやろうとか、チームを鼓舞する声を出し続けようとか、そうやって切り替えて踏ん張れる心の強い選手が生き残っていく。何故なら野球はチームスポーツだから。チームの勝利を最優先に、その為に自分はどうすれば良いのかを考えられる選手が、結果個人の成績も伸びていく。
それを私がちゃんと教え切れていなかったから、24期生にはあまり勝たせてあげることが出来なかったのかも知れないな…。私は中学時代に「野球はプレーに人間性が出る」と当時の監督によく言われた。その本当の意味が最近ようやく分かってきた気がする。34年も野球やってきてようやく分かり始めてきたくらいだから、それを中学生に分かれっていうのも酷な話しだ。北海道で行われる東日本大会に参加する3年生はまだ続くけど、24期生がメインの学年として活動するのは今日が最後となってしまった。だけどまさしくこれが「終わりではなく始まり」である。高校野球を目指すなら、もうその競争は始まっている。元プロ野球選手で現在東京青山シニア監督の宮下さんも、PL学園のエースで立教大学でも活躍した現日本テレビアナウンサーの上重さんも、「中学生の夏の大会が終わった後、高校入学までの期間が野球選手として最も伸びる時期」と言っている。私も本当にそう思う。高校受験という大勝負への準備と共に、是非この貴重な時期を充実させて過ごして欲しいなと思う。