2022年7月24日(日)。
オープン戦 対成田シニア 成田シニアG
約3年前の春。現高校3年生(21期生)が春季関東大会へ出場し、1回戦の相手が成田さんだった。2対3でサヨナラ負けを喫したが、気持ちと気持ちがぶつかり合った好ゲームで、私の長いシニア生活の中でも印象に残っているゲームの一つだ。そのゲームから成田さんの西宮監督と知り合って、互いに連絡を取り合うようになった。ちょうど一年前、私が監督になって初めて成田さんとのオープン戦が実現した(チームとしては2度目。コーチ時代に1度オープン戦をさせて頂いている)。毎年のように上部大会へ進出している名門チームとのオープン戦に心躍らせたが、しかし結果は散々なもので0対24での敗戦に加え、熱中症を5人も出してしまい成田さんのご父兄にもとても迷惑をかけてしまった。「全てに対してリベンジ」のつもりで西宮監督に打診したところ、快く引き受けて下さった。関東大会の試合会場にもなる成田さんの素晴らしいグラウンドで、我が東京和泉シニアの選手達にプレーさせて頂いたこと、感謝感謝である。
1試合目は投手の四死球が多く、また野手陣のエラーも重なって失点してしまいゲームが壊れてしまった。対照的に3試合目は大下が四死球少なくノーヒットピッチング。そして野手陣もその好投にノーエラーで応えゲームをつくった。「守れなければ負ける、守れれば勝てる」という野球の基礎が分かり易く現れた2つのゲームだった。
3試合目は25・26期生で新チームをスタートさせてからずっと目指してきた野球が初めてカタチになった。成田シニアさんは前日の土曜日に千葉市シニアさんともオープン戦をやっているので、恐らくベストメンバーではなかったのではないかと推測するが、例えベストメンバーであったとしても、あるいはどんなに強豪チームが相手であっても、この戦い方が出来れば必ずゲームにはなる。四死球、エラーが少なければ大量失点はしないからである。とはいえ野球というスポーツにおいてその「守る」ということは決して簡単なことではない。投げる・捕るといった基本を正確に出来る技術力の上に、野球をよく学び本質を知っていないと守り切ることは出来ない。今回ノーエラーのゲームが出来たことは今までの練習の成果であって、ゆっくりではあるが着実にみんな上手くなっている証明だ。選手達には是非自信にしてもらいたいところだが、一歩間違えればエラーになっていたプレーも確かにあったので、よりその精度を高めていく努力はこれからも怠らないで欲しい。
攻撃においては選手達のバントに対する意識が高まってきた。まだまだ失敗している選手も多くいるし、成功していても結果オーライな例も少なくない。だけど失敗した時の選手達の反応を見ていると、ことの重大さに気付いているように見える。チームの目標とその目標達成の為のチームコンセプトを選手達自身で決めているから、その役割を果たせなかった時の感じ方が違うのだと思う。失敗は仕方ないが、その受け止め方でその後の成長度が変わる。イチローが日米通算4000本安打を達成した時の記者会見でこんなコメントを残している。
「4000安打には、僕の場合8000回以上悔しい思いをしている。その悔しさと常に向き合ってきた事実は誇れると思いますね」
「これからもいっぱい失敗を重ねて、たまにうまくいっての繰り返しと思います。打撃とは、野球とは何か、ということを少しでも知る瞬間というのは、うまくいかなかった時間とどう対峙するかだと思う。うまくいかないことと対峙するのはしんどいんですけど、それを続けていくことです」
近年、「少年野球にバントは必要か?」ということが議論されるようになった。それに平行するように「脱勝利至上主義」が叫ばれている。しかし私は勝利に拘ることが「悪」だとはどうしても思えない。バントという作戦が最も勝利に近づける手段なのであれば私は迷わずそれを選ぶ。一冬越えて、今の選手達がバットをより力強く振れるようになって、「打つ」ということの方が勝利に近づくのであれば、もちろんその時はそちらを選択する。人間的成長無くして勝利は掴めないが、勝利を目指さずして人間的成長も促されない。真剣に勝利を目指した者のみが野球の本当の面白さを知ることが出来るし、野球チームという組織を学ぶことが出来る。失敗との向き合い方を覚え、努力することの大切さを知る。「バント」は自己犠牲心を育み組織における自己の役割や貢献することの面白さを教えてくれる。
2011年夏季関東大会、2019年春季関東大会、そして3度目のオープン戦で初めて成田さんに勝利した。勝利を目指して頑張ってプレーした経験、これは選手達にとってかけがえのない財産だと思う。