2022年8月21日(日)。
本来であればこの日、秋季東東京支部大会1回戦を世田谷西KCさんを相手に戦う予定だった。しかし先々週からの選手達のコロナ感染により不戦敗。秋の大会は次週28日(日)に行われる敗者復活戦からの参加になった。
先々週は8月8日~12日、4泊5日で北海道にて行われた東日本選抜大会へ参加していた週だ。東京へ帰る日の前日11日から発熱した選手が出始め、予定した12日に東京へ戻れない選手もいた。東京へ帰ってからも次々に感染者が出てしまい、秋季大会初戦を棄権せざるを得ない状況となった。
この経緯を振り返ると北海道遠征による集団感染の可能性は高いが、今回の遠征に参加していなかったにも関わらず陽性者となった選手もいたので、感染経路はハッキリ言って不明だ。東京の感染者数は現在毎日2万人を超えているわけだから、どこにいても、何をしていても感染してしまって不思議ではない。北海道のホテルでの選手達のモラルある行動は、評価されるべきものであったと私は自負しているので、誰が悪いという訳ではなく「運命」だったと思う他ない。
ただやはり夏の大会に敗退したその瞬間から、「25・26期生チームでどうやって秋の大会を勝ち抜こうか」と毎日頭を悩ませてきたこと、色々なチームとオープン戦を組んで試合経験を積み、それに応じた練習内容やスケジューリングをコーチ陣とも何度も議論を重ねて来たこと、そして猛暑日が続くこの夏に熱中症の恐怖と戦いながら何とか活動してきたことも全て、全ては秋の大会に勝利する為の日々だったから、敗者復活戦があるとはいえ戦わずして負けるのは何ともしがたい歯痒さだ。
我が母校もこの夏、集団感染により西東京大会3回戦を辞退した。高校野球に敗者復活戦は無い。高校生たちはどれだけ悔しかったことか…。甲子園でも集団感染により選手が入れ替えられ本来のチーム力を発揮出来ずに敗退した高校もあった。プロ野球でも読売ジャイアンツが集団感染によりペナントレースの試合を何試合も延期した。セントラルリーグ首位を走るヤクルトスワローズでも7名の選手が出場出来なくなった期間があった。
現在の社会がそういう社会なのだから受け止めるしかない。敗者復活戦を戦えるというだけどれだけ幸せなことか…。準備出来る時間は少ないけれども出来る限りのことをやって、最善を尽くすしか道はない。
私は母にこう言われて育った。
「人生に無駄なことは何一つとしてない。経験すること全てが宝だ」
シニアの野球に18年携わって「不戦敗」は初めての経験だ。それはとても残念なことだが、でもこれには何かのメッセージが隠されているのかも知れないと思うようにしたい。北海道遠征期間中、肘の痛みや膝の痛みを訴える選手がいた。もともと人数の少ないチームだから、一人一人の身体にかかる負担は自然と大きいモノになる。もしかしたら、「このまま普通に活動を続けていたら選手達が故障してしまうから少し休みなさい」という神様からのメッセージだったかも知れない。
つい先日、近畿大学卒業式にゲストとして呼ばれた山中伸弥教授が卒業生へ贈る言葉として、ご自身の人生を背景に「塞翁(さいおう)が馬」という言葉を紹介しているYouTubeを見た。「失敗や落胆が大きな発見に繋がったり、挫折を通して力が蓄積される。また、想定外の結果が大きなチャンスに繋がっている。だから身の回りに起こる良いことにも悪いことにもいちいち一喜一憂せず、冷静に足元を見つめて行動すれば道は開ける」といったことを話されていたと思う。少なくとも私はそう解釈した。
だから私は諦めない。「出来ない理由」は探さない。今出来ること、これから出来ることに最善を尽くして秋の大会へ向かう。