2022年10月8日(土) 秋ヶ瀬練習

 2022年10月9日(日) 坂東練習

 2022年10月10日(月) 秋ヶ瀬練習

 

 10月8日(土)。私は東京和泉シニアの活動を休んで4歳の息子の運動会へ行った。「野球人は親の死に目にも会えない」と言われて育った私としては、プライベートを優先することになかなか抵抗感を拭えなかった。私の母にあたる現父母会長からもキツく言われ、渋々運動会への参加を決めた感じだ。しかし妻と息子と1日過ごして、これからのアマチュア野球界の在り方について少し考えさせられたところがあった。

 

 朝、運動会会場へ向かって歩いている時から、息子が「抱っこして、肩車して」と妙に甘えてくる。平日は保育園にお迎えに行くのも、お風呂に入るのも、仕上げ歯磨きをしてもらうのも、一緒に寝るのも全て、全て「母がいい」と言って私は邪険にされているのに、普段と明らかに違う息子の様子に違和感を覚えた。会場について肩車からおろした息子が元気いっぱいに走っていく後姿を見て、何だか切なくなった。週末一緒にいることのない父親がいる…、それを嬉しく思ってくれていることを感じとるのは、そんなに難しいことじゃなかった。「私は妻だけじゃなく4歳の息子にまで我慢をさせてしまっているのだな」と改めて思わされた。

 

 運動会会場では初めてと言って良いくらいママ友パパ友とお話しをさせて頂いた。「隼ノ介君のパパ、レアキャラ」と散々言われた(笑)。妻には「私は実家の父にシングルマザーって言われている」とまで紹介されてしまう始末(汗)。でも僅かな時間だったが楽しかった。話してみると大学の後輩や、同じ田舎を持つ人、野球好きな人などもいて、こういったお付き合いからまた自分の世界が広がるとも感じた。もちろん今しか見ることの出来ない息子の姿も見ることが出来て嬉しかった。

 

 ここでも若い頃に刷り込まれた感覚をアップデートしなければいけないなと考えさせられた。プレイヤー時代はとにかく練習を休むことを許されなかった。大学時代は1日練習を休めば1ヶ月外出禁止を言い渡されて寮を一歩も出られなくなる。だからどんなに体調が悪くても、例え骨折していても、「チームの為に何か出来ることを」とグラウンドに出るのは当然のことだった。高熱を出して寒気を感じながらグラウンドに上がった日だって何日もある。親戚の結婚式が福島であった日も宿泊は許されなかった。朝早くグラウンドに出てギリギリの時間まで個人練習をこなし、式は間に合わず披露宴だけ出てトンボ返りして門限を守った。1学年上の先輩で実の兄の結婚式に出席する為、1日練習を休んだだけでレギュラーメンバーから外された人がいた。そしてその人は2度とメンバーに選ばれることはなかった。成人式も地元ではなく寮のある神奈川県伊勢原市の式に出席しろと言われた。当時日大の監督を勤められていた方のエピソードを聞かされ、「我々野球人は親の死に目にも会えない」と言われ、「野球で活躍したかったら全てを犠牲にしなければならない」ということが美徳とされていた。

 

 私はそうして育ったから、簡単に仕事を休んだりしないし、人の信頼を得るには時間を守ることが大切だという感覚がある。東京和泉シニアの活動に対しても基本は同じ考え方だ。それは決して悪いことだと思わないが、ただしかし、そうじゃなきゃいけない理由もない。皆勤賞こそが正義というわけでもない。近年現代社会では「働き方改革」や「ワークライフバランス」といった言葉を聞く機会が増えている。そうした社会の動きに合わせて、岩手県の強豪花巻東高校の指導者はシフト制にして交代で休みをとるようになったことがネットニュースの記事に書かれていたことがあった。以前、「社会の常識と組織の常識が一致していること」と題してこの日記に記した、野球界の動きの内の一つだと思う。

 

 シニアの活動に関わるスタッフは過酷だ。平日仕事をして土日祝日はこの活動に尽力する。極端な言い方をすれば365日休みが無い。平日は平日で練習やオープン戦・公式戦・イベントを含めたスケジュール調整、高校の指導者との連絡の取り合い、小学生チームとの交流他、毎日毎日引っ切り無しに電話やラインが鳴る。現代はメールやラインといった便利なツールが出来て事務連絡他が容易になったが、逆にそれに縛られ心休まる時が無いという苦しさがある。足利シニアさんの事務局長とお話しさせて頂いた際、「24時間、365日、携帯電話に縛られている」と話されていた。きっと高岡姉さんも同じだし、そして私も同じだ。だから時にはプライベートを優先した行動をしたとしても別に悪いことではない。この度、私自身がそういう行動をしたから自分を正当化する為に言っているのではなくて、アマチュア野球界全体の感覚が、そう変わっていっても良いのではないか?と考えさせられたということだ。いやもしかしたら、もう既にそっちにシフトしているチームスタッフからすれば、「気付くの遅すぎだろ」って思われるかも知れない(笑)。ただまだそれが少数派であることは間違いないと思う。

 

 指導者他スタッフがそうなるということは、選手とその家庭もそうなって良いハズ。高校野球と違って毎日活動出来る訳ではないから、チームがそこの改革に踏み切るのは難しさがあるけれど、休んだ分ちゃんと練習するだとか、大会シーズンには休まないようにするだとか、各選手とその家庭が分別のある行動が出来るようであれば、チームの活動スケジュールに対して各選手が「有休」をとれるようなチームのカタチがあっても、それもまた画期的だ。そんなアマチュア野球の在り方があっても良いのではないか?もちろん我がチームは現在人数も少なく、1人休まれただけで練習自体がままならなくなってしまう現実もあるので、「有休制度」を取り入れられる余裕も無く、理想には程遠い状況であるけれど、今後私がチームの活動を運営していく立場として、そういったことも頭の片隅に置きながら、選手やスタッフ、親御さんとも向き合っていこうと思った。

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