2022年10月16日(日)。

 

 東東京支部一年生大会一回戦 対練馬シニア

 

 5回表の攻撃時。ベンチに帰って来た選手達に警告した。

 

「お前達はベンチに休みに帰ってきているのではない。攻撃しに来ている。声も出さないで休んでいたらそのうち逆転されるぞ」

 

 4回終了時で6対1となり、私は選手達が明らかに「もう勝った」という雰囲気になってしまっていることを感じ取っていた。5回、6回と攻撃時のエネルギーが無い。危機感が無いと言った方が近いか…。

 

 6回裏。案の定練馬シニアさんに2点を奪われ6対3、3点差とされた。

 

 7回表攻撃時。ベンチに帰って来た選手達に今度は怒って伝えた。「ほら見たことか。この回、何としても1点とれっ!」と。結果論になってしまうが、そのエネルギーを持って攻撃したら2得点して8対3とし勝負を決めた。監督にケツを叩かれて火が付いているようでは甘過ぎる。と言うよりまだ怖さを知らないということだと思う。

 

 野球は怖い。1球、ワンプレーで流れが変わり、飲み込まれてしまうことがある。甲子園でも大逆転劇がドラマのように生まれることがあるが、私も指導者という立場になってからベンチで何度も経験してきた。2018年夏季関東大会2回戦対横浜泉戦では、ただのレフトフライが強風に流され逆転スリーランとなってしまい勝利が逃げていった。あの時の悔しさは生涯忘れないだろう。

 

 運が悪いと片付けてしまえば楽だが、でもちゃんと振り返ると必ずチームとしての敗因を見つけることが出来る。2018年夏に限っては逆転スリーランが生まれる前に守備のミスを2つ犯していた。もし今日の練馬シニア戦で大逆転負けを喫してしまったとすればそれは間違いなく5回、6回に休んだことが原因になる。

 

 野球の試合は長い。それがオリンピックの正式種目から外されてしまう原因にもなるほどだ。特に中学野球は守備のミスが多いしバッテリーのテンポも良くないので試合が間延びしがちだ。2時間集中力を保っていられるかどうかというのは勝敗に大きく関わってくる。まずは硬式野球で7イニングを戦い切る身体的な体力と、それに伴う精神的な心のスタミナも必要だ。

 

 第1試合が長引いたことで待たされた時間が長くなった。そして公式戦特有の緊張感を感じながら、アップ、キャッチボール、シートノック、そしてゲーム序盤を戦いまず身体的なスタミナ切れを起こした。アップの時からモチベーションを高めようと、より声を出して頑張っていた選手がいて、それはとても素晴らしいことだが、色々な条件が重なって試合中盤に息切れしてしまった感じだ。身体がガス欠になると思考力が停止する。「次に何が起こるか、ではどんな準備が必要か」といったところが疎かになるから、自然とミスが起きやすくなる。

 

 エラーや走塁ミス他、細かなミスは沢山あったが、1年生のゲームとしては及第点をあげられる内容だった。「守備の精度を上げる、走塁を覚える」といった課題はまだまだ山積みだが、私がこの試合を通して1年生達に学んで欲しいと思ったのはこの「油断大敵」とそして「スタミナ」という部分。こうならないように普段から走っておくことは大事だ。体力的な面と、精神的な面の両方をトレーニング出来るからだ。苦しいことに耐える経験をしておくと、試合中の厳しい場面でも頑張れる。私が高校3年生の夏、西東京大会4回戦。府中市民球場のマウンドに立った時ホームベース上は陽炎が揺れていた。それくらい暑かった。でも「あれだけ走ったんだから大丈夫だ」と思えた。結果9回まで投げ切ることが出来た。

 

 東京和泉シニア26期生は才能の溢れた選手が揃ったと思っている。それは間違いない。だけど我々の前の試合を戦っていた東京神宮さんと練馬北さんにもいい選手は沢山いた。「守り」という面ではウチの1年生達もそう負けてはいないが、バッティングという面では遠く及んでいない。あのクラスのチームに約10ヶ月半後、たった10ヶ月半後に訪れる秋季東東京支部大会で勝てるようになっていないといけない。勝負はその時だ。

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