2023年2月19日(日)

 

 春季東東京支部大会1回戦 対芝シニア 14対2〇 @板橋シニアグラウンド

 

 長い冬を越え、春季東東京支部大会1回戦を迎えた。結果14対2で4回コールド勝ち。1回戦突破を果たした。ちょうど5ヶ月前、秋季東東京支部大会敗者復活2回戦で東練馬武蔵さんに敗れ、力の無さを痛感してイチから鍛え直そうと5ヶ月間練習に励んできた。1回戦負けは練習しなくても出来るから、この度の勝利はその5ヶ月間が意味のある時間だったことを証明するものとなった。

 

 私がこの5ヶ月間で感じたことは、練習にしっかりとした選手達の意思があったこと。秋の大会前、「選手達に練習メニューを考えさせる」ということを実践した。それは練習に取り組む選手達に意思を感じなかったからだ。ただ与えられた練習メニューをこなしているだけに過ぎず、「目標」と言いながらも夢物語を語っているだけでそこに情熱を感じなかった。大会で勝利する目標があって、そしてその目標達成にはどういうチームにならないといけないのか?では自分はそのチームに貢献する為にどのようなピースとなるべきか?だからどんな練習をしなくてはならないのか?それを理解して練習するのと、ただ与えられた練習メニューを消化していくだけでは全く違ったものになる。秋の大会までの選手達は間違いなく後者だった。

 

 しかし秋季大会に敗戦し悔しい想いをして、「足りないこと、やらなくてはいけないこと」が選手達の中でも明確になったように思う。それからはまた我々指導者側が練習メニューを与えるように戻したが、でも練習に選手達の確かな意思を感じるようになった。間違いなく秋の大会後の選手達は「この練習をして強くなって春夏にリベンジをするんだ」と思いながら練習をしていたと思う。それこそが自主性だ。そうやって練習出来るならば、練習メニューなんて誰が考えても良いと思う。我々が与えようが、選手自らが考えようが、確かな目標があってそれを達成しようとする意志があるならば、いずれにしても充実した練習が出来ると思う。逆にそれが無ければどんなに苦しい走り込みをしたところで身にならない。

 

 それともう一つ忘れてはならないのはお父さんお母さん方の協力だ。秋季大会に敗れてからの3ヶ月間はほとんどオープン戦も組まず練習を重ねて来た。坂東グラウンドに来ても毎週毎週同じような練習メニューが繰り返されるだけで、「つまらない」と感じたこともあったと思う。だけどお父さん方はその地味な練習に沢山力を貸してくれた。選手達が充実した時間を過ごせるように雑用を沢山こなしてくれた。お母さん方も当番だけに留まらず各係の仕事や年末年始のイベント、そしてオーシャン杯の段取・帯同他と、きっと大変だったと思う。皆さんのそういった協力があってこの度の勝利がもたらされたのは間違いない。

 

 私はこういう今の東京和泉シニアのチームカラーが大好きだ。選手、チームスタッフ、父兄が垣根なく仲良く皆が協力し合い、目標に向かって頑張るスタイルである。監督になりたての頃はその親御さんとの距離のとり方に苦労した。本心は今と変わらず近い関係でいたかったが、「監督と親の距離が近いと問題が起きやすい」と当時の事務局に言われて、一線を置くフリをしていた。でも高岡姉さんが事務局になってからそれももうやめた。今は「周りに何と言われようと自分のスタイルでやろう」と思えている。

 

 近年は野球人口減少と相俟って父兄のお当番が問題視されるようになった。ネットニュースなどでクローズアップされるのも、「当番制廃止」といったワードばかりだ。でも私はそれが全てだとは思わない。高校に進学すればもう親が子と一緒にグラウンドに立てることもなくなる。中学野球はそれが許される最後の時間だ。高校で寮生活、大学で寮生活、そして県外での就職ともなれば、親と子がもう一緒に住むことすらもなくなるかも知れない。これは大袈裟な話しだが、無い話しでもない。だから中学時代の親と子のかけがえのない時間を大切にして欲しいと思う。

 

 もちろん大変なこともあるけれど、子供はその親の苦労をちゃんと見ているものだ。私自身「お母さんを喜ばせたい」と思ってプレーしたことは何度もある。大学時代にとうとう叶わなかったが、私の目標は神宮球場の電工掲示板に「小川」という文字を映して母親に見せることだった。私の野球にどれだけの協力をしてもらったか分からない。でもだからこそその恩返しがしたいと思った。沢山の愛情と手間をかけられた子はより優しい人間に育つと信じている。そして東京和泉シニアの選手達には親御さんへの感謝の気持ちを持てるようになって欲しいと願っている。

 

 さあ、2回戦は練馬北さんに決定した。秋季関東大会に出場している強豪だ。しかも試合会場は練馬区営G。この5ヶ月間の選手達の取り組みが最も試される試合と言って過言ではないと思う。これまでの5ヶ月間で力を貸してくれた人達の「お陰」で1回戦を突破することが出来た。次はその「お陰」パワーをその人達の「為に」パワーに代えて、全力でぶつかっていきたい。いざ、勝負。

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