2024年3月20日(水)

 

 春季東東京支部大会3位決定戦 対練馬北シニア 4対2 〇 @練馬区営ⅲ面G

 

 春季東東京支部大会3位決定戦を練馬区営ⅲ面にて練馬北シニアさんと戦い、4対2で勝利した。これで2024年春季東東京支部大会単独3位を確定させ、さらに4月7日から行われる春季関東大会のシード権を獲得したことになる。秋・春ともに東東京支部大会の過去最高成績はベスト4。3位決定戦に勝利したのも、同時に関東大会のシード権を獲得したのも27年目にしてチーム史上初である。

 

 「関東大会に出場した程度で」と強いチームには笑われてしまいそうだが、夕方には東東京支部大会の慰労会を兼ねた、関東大会出場及びそのシード権獲得のお祝い会と題して、ご父兄の皆様と一時を過ごした。皆さん本当に嬉しそうで、「やっぱり勝つっていいなぁ~」と改めて思った。ただ同時に、「勝つことでしかその活動が評価されない」ということがやはり日本の野球界の問題点でもあると強く感じた。

 

 振り返ってみればどちらに転んでもおかしくない接戦の連続だった。初戦の江戸川東・南戦は同点で迎えた最終回に無死2・3塁とされ絶体絶命のピンチを迎えた。あの場面でサヨナラ負けしていたら今日の状況は無い。

 

 練馬戦も2番手で登板したアオちゃんの状態が悪く最終回にシブチンへスイッチした。あれは賭けだった。アオちゃんはブルペンから様子がおかしかった。引っ掛けた投球ばかりで全然ストライクが入っていない。最初の7球の投球練習でも指にかかった投球が見られず、案の定練馬打線に打ち込まれた。たまたま運が良く失点しなかったが状態としては最悪だった。とはいえシブチンは明らかに実戦不足。緊張感が最高に高まる最終回のマウンドに1点差で上げるのは荷が重すぎる。でも前日のピッチング練習で状態が良いのは確認出来ていたし、2イニングを投げたアオちゃんは2回り目に入る。練馬打線で一番良いバッターだった3番打者から。このままアオちゃんを続投させてもどうせ失点するならシブチンに賭けてみようか。そう決断した。結果シブチンはストライクが入らず先頭にストレートの四球。唯一「カーブ」というストライクがとれるボールを見つけ、後続を断って勝利を手にしたものの、采配が正解だったかどうかは分からない。私の中では「たまたま勝った」としか表現のしようがない。

 

 東京青山戦も幸先良く先制はしたものの、3回・4回とチャンスをつくりながらも、センターからの強烈なバックホームなどもあって追加点を阻まれ一時は1点差まで迫られた。

 

 江戸川中央戦は力の差を見せつけられてしまった部分もあったが、初回の守りをうまく守り、あるいは最終回の攻撃でチャプチェの打球が抜けていれば試合をひっくり返す展開もあり得た。

 

 練馬北戦は我がチームがノーエラーゲームを実現させ、最も落ち着いた試合運びで勝利したとはいえ、4回裏の攻撃時無死1・2塁の場面でバントが小フライとなってダブルプレーとされ流れを失いかけた。トクちゃんのラッキーな適時3塁打により勝ち越すことが出来たのだが、もしもあれをライトがダイビングキャッチしてチェンジとなっていたら勝利することは出来なかっただろう。

 

 どの試合も紙一重。もし初戦に敗れていたら江戸川東・南さんが勢いに乗り我がチームと逆の立場になっていてもおかしくない。トーナメントは明と暗をハッキリと分ける。大会直前にポジションをコンバートした選手もいたし、打順や投手起用も含めてもし負けていたら全て私は批判の的になる。勝ったから美味しいお酒になる。これに違和感を覚えるようになった。もちろんこれからも勝利を目指して活動していく。トーナメントで勝つためのチームづくり、采配を勉強し追求していく。でも勝つことでしか評価されないのはやはり何か違う気がする。

 

 世間では「勝利至上主義」を悪のように言う報道が頻繁にされている。昨年慶應義塾高校が甲子園優勝を果たし、「勝利」よりも「育成」を重視すべきといった意味合いの記事がより多くなったようにも感じている。それなのに世間は「育成」の部分は評価してくれない。試合の結果にしか目を向けない。私はいつも勝利を目指しているし、この度の関東大会出場とシード権獲得は素直に嬉しいし選手たちを誇らしくも思う。だけどそれより、江戸川中央戦の後に坂東へ移動し練習終わりに一生懸命走るフクちゃんの表情がとても嬉しかった。決して褒められたランニング姿ではないが、「うまくなりたい」という想いが伝わってきた。フクちゃんが入団した頃にあんな表情は見られなかった。彼が我がチームに入団して約1年が経ち、その間に確実に成長しているのだと実感出来た。そうやって選手達が学び成長していける環境がそのチームに有るのか無いのかということが大事だと思う。

 

 昨年のプロ野球ペナントレース。阪神タイガースとオリックスバファローズは2位以下を大きく引き離し圧倒的強さでリーグ優勝を果たした。2位とのゲーム差は阪神が広島と11.5ゲーム、オリックスはロッテと15.5ゲームである。しかしその戦績は阪神が85勝53敗6分で、オリックスが86勝53敗5分。つまり14戦して8勝6敗の計算。圧倒的強さで優勝するチームですら勝率は6割程度なのだ。要するにそれくらい野球は勝ったり負けたりするスポーツであるということ。

 

 どれだけ力を持ったチームでも試合の流れ1つで負けることもあるし、高校野球で第1シード校が初戦で姿を消すこともあるのだ。学生野球が多様化する社会への人材育成の一端を担おうとするなら、「勝つ」と「負ける」でしか評価をされない状況を何か変えないと、今後行き詰ってしまう気がする。
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