2024年3月31日(日)
オープン戦 対柏シニア 6対8 ● @柏シニアG
久しぶりに柏シニアさんのグラウンドにお邪魔した。ホームページの試合結果欄を見返したら前回は2020年1月だった。だからおよそ4年ぶり。そんなに行ってなかったかな…。定期的にオープン戦はさせて頂いていたような気がするのだけど…。でも外野の芝が増えていたし、ライトフェンスの裏には室内練習場も増設されていた。以前よりもグラウンド環境がさらに充実していたところを見ると、それくらいの年月が経っていたということなのかも知れない。
試合は6対8で負けてしまった。私は柏シニアさんに対して「毎年バッティングの良いチーム」という印象を持っているが、今年のチームはその印象をさらに超えてくるくらい強打のチームだった。どちらが関東大会出場チームなのか分からなくなるような試合序盤だった。後半少し盛替えしてゲームをカタチにはしたが、危うくコールド負けの勢いだった。でも試合の中でまた沢山のことを選手達が経験出来た。チャプチェは柏シニア打線に打ち込まれてしまったが、「良い打者を打ち取るためにはどうやって攻めていけば良いのか」ということを学べるとても良い機会になった。攻撃面では初回に牽制アウトを2つとられてしまったが、「関東大会でも牽制の上手い投手と対戦になるかも知れない」と考えると、これもとても良い経験が出来た。
3試合通して一番感じそして嬉しかったのは、選手達が楽しそうなこと。3年生は意表をついたダブルスチールやセーフティバントといった作戦をベンチと一体になって敢行し、それを成功させることを心の底から楽しんでいるようだった。2年生の試合には新1年生も少しずつ出場し、良いプレーが出れば皆で喜び褒め合って一体感を持って戦っていた。
私はコーチ時代に「もっと楽しく野球が出来ないものか?」とずっと思い悩んでいた。ベンチから罵声が飛ぶのが当たり前の時代。選手達はプレーすることに怯え、相手チームではなく味方のハズの自チームベンチと格闘していた。指導者が言うことはいつも結果論で、その過程を見られることは無く、結果が悪ければ「気持ちが足りない」などと言われて怒られてしまう。当時のスタッフ会議などで「結果に対して怒るのはやめませんか?」といった進言もしてその時は受け入れてくれるのだが、実際に試合になると感情的になって元に戻ってしまう繰り返しで、どうにもこうにも変えられないもどかしさでいっぱいだった。
監督になった当初はそれまでの方針と正反対のことをしようとした。そうすれば選手はノビノビプレー出来るようになる。結果もそれに伴ってついてくる。そんなスタイルの野球に賛同してくれる人も沢山いることだろうと勝手に思っていた。しかし当時の家庭にはなかなか受け入れてもらえず、コーチスタッフや選手達も戸惑っているようだった。それはきっと、それ迄の東京和泉シニアのスタイルに対して私がただ自分の心の中だけで反抗していただけで、私自身の心の奥底から「こういう野球をやる」という明確な方針を発信し、それを全員で共有出来ていなかったからだと思う。単に私が組織のリーダーとして未熟過ぎた。
「楽しくやって強くなる」
今なら声を大にして言える。「私がやりたいことはこれだ」と。新3年生はそれを見事に体現してくれている。それはもちろん、4月から新高1となる25期生もそうだし、24期生以前のOB達が少しずつ築いてきてくれたモノでもある。昨日また新たに1名の選手が入団を決断してくれて、新1年生となる28期生は13名となった。東京和泉シニアの歴史はまだ紡いでいけそうだ。それは渋谷さんが新人勧誘に力を尽くして下さっていることが一番大きいが、今の現役中学生とそのご父兄、そしてチームスタッフが作り出す現在の東京和泉シニアの雰囲気に賛同してくれている部分も間違いなくあると思う。
野球講演家でYouTubeなどでもご活躍されている年中夢球さんが、ご自身の著書の中で「人数の集まるチームの特徴」として、「チームの方針が明確であること」を挙げていた。別に私はそれを意識していた訳ではないが、「結果そうなってきた」ことがチームに良い風を吹かせている気がする。
私自身はプレイヤーの時からコーチ時代も含め、どこかギスギスした雰囲気の中で野球をやってきてしまった気がする。日本ハムファイターズのスカウト部長を勤める大渕隆氏は、「野球を子どもに返そう」をスローガンに、六大学野球部のグラウンドを一斉に開放して野球教室や鬼ごっこなどを行うイベントを開催するなど、野球を通じて「子供の体力低下」といったような社会課題の解決を目指す活動を行っている。私のような一介のサラリーマンにはそんな大それたことなど出来るハズもないが、ただ野球人の端くれとして「野球が楽しくて、好きで好きでたまらない」という子を少しでも増やせるように、そんな環境を我がチームの選手達に提供出来るように、この度の柏シニアさんのグラウンドで選手達が楽しそうにプレーしている姿を見て、これからも頑張ろうと改めて思った。