2024年5月19日(日) 

 

 夏季関東大会2回戦 対常総シニア 7対0 〇 @水海道球場

 

 久しぶりに夏季関東大会2回戦を突破した。コロナ渦で関東大会として夏の大会を開催出来ずに東東京支部大会を戦った2020年、2021年は共に2回戦を突破しているが、それを除くと2015年まで遡る。シニア関東連盟に所属する205チームが参加している今大会も、2回戦を終えて既に64チームに絞られた。つまり141チームが姿を消したことになる。毎年のように上位進出しているような強豪チームさえも、何チームかは既に敗れている現実が「2つ勝つ」ことが如何に難しいことであるかを証明している。「最後の夏」は負けたら終わりの一発勝負。そのプレッシャーは計り知れないし、どのチームも全てを懸けて挑んでいる。試合終了後の越谷シニアの選手、常総シニアの選手も悔し涙を流していた。そういった相手チームの想いを越えていかなければ勝利を掴むことは出来ない。

 

 私もとても緊張した。前日の夜はすんなり眠れたのだが、朝起きたら急に怖くなった。夏季関東大会2回戦をこれまでなかなか勝てていないのを知ってしまっているし、常総さんとは毎年のようにオープン戦をさせて頂いていて、守りが固く粘り強い印象を持っている。厳しいゲームになるだろうことを予想しない訳にはいかなかった。コーチ時代も含めると20年目に突入したシニア生活。「知っている」ことが「怖さになる」とはまさにこのことだろう。案の定、序盤3回はダブルプレーもあって9人でピシャリと抑えられ、重苦しいムードになっていきそうだった。

 

 流れを変えてくれたのはマヒちゃんの2本のランニングホームラン(公式記録は3塁打+エラー)だった。特に2本目は圧巻だった。投手が代わり、初めて対戦する投手に初見で合わせることが出来るマヒちゃんの能力が見事に発揮された瞬間だった。そしてセカンドベースを蹴って3塁へ走っている時に中継プレーを見ながら走っていた。中継がもたつく間に一気にホームを陥れた。3塁コーチャーは止めていたがそれを振り払っての生還。ずっと練習してきた我がチーム独自の「コーチャーに頼らない走塁」が生きた場面。

 

 「進塁するしない」は走者自身が決めることをルールにしている。だからずっとどの打球も自分で見て判断させてきた。ゲームノックなどの練習でもコーチャーはつけず、「野手が守備するとき」を走者自身が見ながら走塁することを口酸っぱく言ってきた。特に「3塁コーチャー」を必要以上に神格化する日本野球ではなかなか受け入れられず、監督になったばかりの頃はコーチ陣に理解してもらうことも難しかった。私自身がプレイヤー時代にたまたまそういう走塁の仕方を教わっていたということもあるが、何よりまだ中学生である選手達がコーチャーの練習に多く時間を割くことに抵抗があった。チームの勝敗を左右する得点を背負わせるならその練習を多く積む必要があるが、出来ることならやっぱりボールを投げたり捕ったり打ったりする時間にしてあげたい。そんな私の想いもあり東京和泉シニア独自の走塁を確立していった。野球は走塁で出来ている。走塁を学べば学ぶほど守備も打撃も上手くなる。走塁を学ぶということは野球の本質を理解するということ。野球が上手くなるに決まっている。その為にはコーチャーではなく自分で見て、感じて、根拠を持って走ることが一番だと信じている。

 

 結局6回コールド勝ちで試合を決め派手に勝利したようにも見えるが、一番の勝因は無失点であること。特に3者凡退で初回の攻撃を終えた後、裏の守りで先頭打者に打たれたセカンドへのハーフライナー。あれをショーヤンが捕っていなかったら勝敗は逆になっていたかも知れない。私の中ではこの試合最大のハイライト。プレッシャーのかかる夏の大会2戦を戦い失策1は本当に立派。

 

 先週の越谷戦もそうだったが、ベンチにいて強く感じるのは「とても良いメンタリティーで試合に挑めている」ということ。皆が「失敗したらどうしよう」じゃなくて、ミスがあっても切り替えて、常に攻める気持ち、ポジティブな思考でプレーに集中出来ていることが私はとても嬉しい。「楽しくやって強くなる」というチーム理念そのものだからだ。そういう意味では春季関東大会の瑞穂戦の反省は生きている。エラーが重なりチーム全体がネガティブな思考に陥っていった。ミスを引きずってネクストプレーにも悪影響を及ぼす負のスパイラルだった。ただこの2戦は一度も相手にリードされることなく試合をしており、ネガティブな思考になる要素が無かったのは確かである。真価が問われるのは我がチームが劣勢になった時にどれだけポジティブな言葉を発し、ポジティブなメンタリティーで戦えるかどうかである。

 

 さあ、次戦は中本牧シニアさんが相手だ。今春、大阪で行われた全国大会で優勝。さらに我がチームも出場し2回戦で敗退した春季関東大会の覇者でもある。まさに日本一のチームへの挑戦だ。試合会場も保土ヶ谷球場ということで、この上ない舞台を神様が用意してくれた。ここ数週間ずっと言い続けているが、良い活動をしていると自然と運が向こうから寄って来る。26期生を中心とした今年のチーム。選手はもちろんのことご父兄の皆様も本当に協力的で、そんな皆の努力が素敵な舞台を呼び寄せていると感じる。公式戦を勝ち上がる度にチームは強くなるというが、1回戦の越谷戦よりもこの度の常総戦の方がスタンドの応援がグレードアップしていた。1年生が応援用の用紙を印刷してきたそうだ。スタンドの声がベンチにいてもよく聞こえた。朝起きた瞬間から怯えていた私にとってどれだけの勇気になったことか。選手、スタッフ、父兄の総力を結集してチャンピオンに挑みたい。目標達成の為に高い壁を乗り越える。
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