2024年6月2日(日)
ミーティング @セシオン杉並
先週、夏季関東大会を終えて新たなスタートを切るべく迎えた最初の週末だったが、生憎の天候によりミーティングを行うこととした。ずっとベンチやスタンドから応援にまわってくれていた2年生、1年生に試合をさせてあげたいと想い、練馬シニアさんにオープン戦をお願いしていた。同じ東東京支部、そして城北ブロックのチームであるから公式戦では何度も対戦があるものの、オープン戦の機会を頂けたのは私が監督になってから初めてだった。私自身も、ここ数年ずっと安定した結果を残し続けている練馬シニアさんのその強さの秘訣は何なのか、監督さんに色々お話しを伺いたいと思っていたので、この度の雨天中止は残念でならなかった。
ただ先週の夏季関東大会3回戦に敗れ、チームが一区切りを迎えていることは確かである。もちろん3年生は卒業生大会も残っているし、その夏の敗戦を今後に生かす為にモチベーションを下げるのではなくより高い志を持って次のステップへ進んでもらいたいと思っている。それと同時に新チームとしての始動、新たなチーム目標や個人目標を立て、その目標達成の為にどのような活動、生活をしていけば良いのかといった、27・28期生チームの1年の「軸」を決めなければならない。そういう意味では雨天中止によるミーティングへの活動内容変更は、とても良いタイミングであるとも思った。
初めは3年生に「なぜ全国大会出場という目標を達成出来なかったのか?」を発表してもらった。本当はパワーポイントなどを使って事前に資料を作り、プレゼンしてもらうような機会をつくりたかったのだが、夏の大会を終えてすぐ次の週に「ミーティング」となってしまったから、その準備の時間を与えてあげられなかった。とはいえ3年生同士で1年間の歩みを振り返りながら、「何が足りなかったのか?」を話し合う機会は、彼らにとってとても重要な意味を持つ。結果発表の内容は私からすれば50点。厳しい採点かも知れないが、失敗の原因をちゃんと突き詰めなければより良い結果など得られないから、3年生の今後の成長に期待をして敢えて厳しい点数をつけさせてもらった。
残念だったのは「怪我」について何も触れられなかったこと。この1年、26期生チームはどれほど怪我に悩まされたことか。結局夏季関東大会もベストパフォーマンスとは程遠い身体の状態で迎えた選手が何人もいたのではないか?怪我さえなければもっと練習量を増やすことが出来ただろうし、勝てたゲームだっていくつもあったのではないか?ではどうしたら元気な身体で1年を戦うことが出来たのか?その経験を踏まえ、今後どうしたら怪我をしない身体でいられるのか?それは3年生が今後高校野球という世界へ飛び込んでいく上でとても重要な要素のハズ。3年生にはこの度のミーティングの時間だけでなく、今一度真剣にこの1年の戦いを振り返り、目標達成ならなかった原因を突き詰めて欲しい。
3年生の発表を聞いた後、1・2年生の新チームの目標を発表してもらったが、こちらは残念ながら30点。3年生より内容が劣ってしまうのは当然といえば当然。言葉は悪いかも知れないが、グループ討議中の会話を聞いていても内容がまだまだ幼稚である。
「稚心を去る」とは幕末の時代を生きた志士、橋本佐内が著書『啓発録』に記した言葉であるが、「目先の遊びなどの楽しいことや怠惰な心、親への甘えは、学問の上達を妨げ武士としての気概をもてないので捨て去るべき」と訴えている。要するに「稚心」とは「幼き心」という意味で、それは自らを高める妨げになると言っているのだ。橋本佐内は弱冠15歳にしてこれを後世に残している。15歳と言えば東京和泉シニアの選手達と同じ年代であるのだから、現代を生きる彼等にだってその意味を理解する力は持っているハズだ。橋本佐内は安政の大獄により25歳にしてその生涯を閉じたわけだが、その無念の想いを時空を超えて現代の若者が受け継ぎ自らの生きる力に変えることが出来たら、それはそれで何か格好いい。
ミーティング中にも話したが、野球は人間が成熟して来ないと良いプレーは出来ない。チームスポーツであるが故にコミュニケーション能力や規律を守るといった社会性が必要になるのは勿論のこと、相手を上回る毎日を過ごす為の自律心や、チームに貢献する為に自分を殺すことの出来る自己犠牲心他、試合に勝つ為には人間的な要素が多分に要求される。
それこそ先週対戦した中本牧シニアさんの選手達は、一人ひとりが自立していてゲームの中で順応している様子が伺えた。バッテリーは審判のストライクゾーンの癖をいち早く察知し、それを上手く利用して配球を組み立てていた。打者陣は2周り目になると投手への対策を立て、また追い込まれるとファールで粘ってチーム打撃に徹していた。それは昨秋の関東大会、そして春の全国大会、関東大会を勝ち上がる中で培われてきたものでもあると思うが、普段から明確な目標や目的を持って取り組み、確かな考えのもとで毎日を過ごしているから成せる業であると私は思う。
私は時々選手達に「その日グラウンドに立った時点で勝敗はほぼ決まっている」と話している。それまでに何を目的とし、どんな目標を掲げ、どれだけの意識で取り組んで来れたのか、どんな毎日を過ごしてきたのか、その差が勝敗の差ということだ。この度のミーティングは27・28期生チームのスタートと位置付けることが出来る。これから選手達がどのような成長を遂げながら、どんな毎日を過ごしていけるのか。今夏の雪辱を果たす為には目の前の1日1日が勝負になる。高い目的意識を持って1年を歩んでいって欲しい。