2024年11月10日(日)

 

 オープン戦 対深谷彩北シニア 3対6 ● @深谷彩北シニアG

 

 先週の2日(土)にミーティングを行った。久しぶりに1日中雨となり、グラウンドでの活動が出来なかった為だ。秋の大会が惨敗に終わり、来春・夏にリベンジしようとチームは新たなスタートを切ったつもりだったが、オープン戦でも負け続きでチーム状態は悪くなる一方。選手達の様子を見ても、目標や目的が明確となってそれを達成しようとする意欲が見られなかったので、再度確認する意味でも「ミーティングを行いたい」とずっと思っていた。

 

 改めて選手達に問いかけた。「今の目標や目的は、本当に君達が東京和泉シニアでやりたいことなのか?」と。しかしその問いかけになかなか答えが出て来ない。新チームスタート時(6月)に打ち立てた目標と目的をそのまま継続して良いのかどうかも分からない様子。結局チームの方向性が固まらないままミーティングを終えることとなってしまった。

 

 選手達が今の東京和泉シニアの活動に情熱を注げることが出来ないのは、私の責任であると思い一週間考えた。「選手達がワクワクするような活動の仕方は無いものか」と。行きついた答えは「日本一勘違いしているチームをつくる」である。

 

 27期生は1年生の時からオープン戦でもなかなか勝つことが出来ずに、そしてメインの学年となった最初の大会、秋季東東京支部大会でも1勝も出来なかった。とにかく成功体験が無い子達だから、どうしても自信を持つことが出来ない。だから「下手くそだから練習をする」というメンタリティーよりも、「俺達は上手い」という勘違いから始めてみようじゃないかと思ったのだ。そして夏の大会を迎える時にその勘違いが真実になるように。

 

 秋の大会を迎えるまではほぼそれに近いアプローチで指導にあたっていたのだが、秋の大会敗戦後は来春・夏を見据えて「勘違いしてもらっては困る」と、足りないところ、考え方として間違っていると感じるところなどを補い正していくアプローチに変えた。しかしそうするといつの間にか悪い部分の指摘ばかりになってしまっていた。もともと実力不足だったところに加えて「エラーしたくない、ミスしたくない」という思いが先立ちプレーすることに怯えるようになってしまった。これでは現在我が東京和泉シニアが掲げる「楽しくやって強くなる」というチーム理念からかけ離れたものになってしまう。ならばもういっそのこと最後まで勘違いし続けてもらおうじゃないかと思ったのだ。

 

 もちろん、私としては不安なところもある。「野球は厳しいものだ」と学生時代も東京和泉シニアのコーチ監督時代にも、現実を突きつけられてきた。「そんな甘い考えで勝てるハズ無い」という私の中の「常識の枠」が強烈なブレーキとして決断を鈍らせる。でもやったことも無いのに無理だと決めつけてしまうのは面白くない。ここ2ヶ月半でのオープン戦での様子を見れば、このまま続けてもあと半年でチームが劇的に変化するとはどうしても思えなかった。どうせダメなら賭けてみたい。

 

 練習でも試合でも常にポジティブな声掛けをチーム全員で共有・徹底し、良いメンタリティーでプレーし続ける。その方が失敗を恐れずにチャレンジしやすいし、結果良いプレーも生まれる。その成功体験を積み重ねて「俺達も出来る」と自信を持ち、自信を確信に変える。「俺達は上手い」と脳を騙し続け、最後はそれが真実になる。

 

 少年野球では未だに指導者の暴言や暴力が無くならないようだ。先日もそんなニュースを目にした。指導者が何をもってそうなるのかは分からないが、根底にはやはり「野球は厳しいもの」という固定観念がそうさせるのではないかと思う。トーナメント制が主となる学生野球では負けが許されず、つまり失敗が許されない。どうしても最後は精神論になりがちだ。でもだからこそ東京和泉シニアが挑戦しようじゃないか。目標を「日本一勘違いしているチームをつくる」とするその目的は、「東京和泉シニアから発信、全国の少年野球界を救え、楽しくやって強くなれることを証明する」である。これを選手達に提案した。

 

 9日(土)。いつものように秋ヶ瀬で1日練習を行った。最後のシートノック時に選手達を集めて話した。「どんなプレーにも全員で褒めることにしよう。例えエラーが起きても、そのプレーのどこか良いところを探して褒めよう」と。そうしたらグラウンドの空気感が一変した。やっぱり必然的に良いプレーが生まれるようになる。

 

 10日(日)。深谷彩北シニアさんとのオープン戦。残念ながらこの度のゲームも敗れてしまったが、良いメンタリティーで試合に挑めていることは明らかだった。ベンチ内の空気感も含め久しぶりに選手達が楽しそうに見えた。そしてまた見ているこちらも楽しくなる。そこは観戦に訪れてくれた会長と父母会長も感じて下さったようだ。「今年は一体どんなチームを目指せば良いのか」とずっと思い悩んでいたが、27期生が目指すべきカタチがようやくハッキリしたように思えた。

 

 まだまだ続く連敗地獄。長いトンネル。でもそこに一筋の光を確かに見た週末だった。

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