2023年3月5日(日)
春季東東京支部大会敗者復活3回戦 対新宿シニア 2対14● @練馬区営グラウンド
完敗…。4回コールド負けで春の大会を終えることとなった。「関東大会へ出場して2勝する」という選手達が掲げた目標を達成させてあげることが出来なかった。誰でもない、全て私の責任である。
先週、我がチームの試合のあとに同会場で行われていた新宿シニアさんと大田シニアさんのゲームを見て、新宿シニアさんの方が我がチームよりも力が上なことは分かっていた。だが野球は力が上のチームが必ずしも勝利する訳ではない。新2年生が多くスタメンに名を連ねる我がチームが、1月から構築してきた戦い方を実践すればチャンスはあると踏んでいた。今、我がチームが出来る最高のゲームをぶつけて勝ちをさらう…、そんなイメージをしていた。
しかし結果はこの春最低のゲームとなった。いやもしかしたら今年最低のゲームだったかも知れない。4イニングで四死球7、パスボールやワイルドピッチといったバッテリーエラーを含めた失策が5、計12もの塁をタダで献上してしまってはゲームにならない。常々選手達に話して練習を重ねて来た。野球において大事なのは「守り」だと。「守り」がベースとして無ければ勝ち上がることは不可能だと。しかしそのベースが崩れた。崩れるということは確かな力が無いということ。
不安要素が全て露呈した。1月から組んできたオープン戦、オーシャン杯、春季大会3戦、いずれも投手陣の制球が不安定だった。回の先頭打者に四球を与えてしまうことが多く、また打ち取った打者に対してもボール球の多いフルカウントピッチングでテンポが悪い。たまたま相手打者が打ち損じてくれたことにより最小失点で切り抜けてこられた試合が殆どで、一歩間違えれば大量失点によりコールド負けになってもおかしくないゲームばかりだった。他にも大会直前の主力の怪我や、冬の間の怪我による練習不足となった選手など、そういった不安要素が一番大事な試合で出てしまったという感じだ。
そういったことも全て含めて「関東大会の代表に値するチームではなかった」ということだろう。もちろん昨秋と比べれば選手達はこの冬で力を付け、出来なかったことが出来るようになり一定の成果はあげることが出来たと思う。春の大会を4戦闘い、ネガティブな要素ばかりだった訳ではない。ただ試合後の選手達の表情を見ると現状にまだまだ満足出来ていないことも確認出来たから、このチームはまだまだ成長出来ると信じている。私が昨年秋に「春の大会までの課題」として挙げた6つの項目をどこまでクリア出来たかと帰りのバスを運転しながら考えていたが、点数換算して約6割程度だと思った。負けた後のタラレバ話しは良くないが、これが8割くらい達成出来ていたならまた結果も違ったことだろう。
一番痛かったのは「エースの不在」。野球はピッチャーの出来が8割試合の勝敗を占めると言われるスポーツ故に、どうしても投手陣には厳しい評価になってしまう。私自身、中学1年生からずっとピッチャーをやり、高校時代には全校応援の期待を背負ってマウンドに上がるという経験もした。計り知れないプレッシャーの中、チームを勝利に導ける投球が出来る確かな技術に裏付けされた強靭なメンタルも要求される。過酷なポジションであることはこの私が誰よりも理解している。
でもだからこそやりがいがあって楽しいポジションだ。私は5歳の時にテレビに一番映るピッチャーに憧れて野球をやりたいと思った。小学生の時はピッチャーをやらせてもらえないことが一番残念だった。中学時代も背番号1を背負えないことにムカついていた。高校時代は大したピッチングも出来ない、背番号1を背負うにふさわしくないヘボピッチャーだったが、それでも試合を支配出来ること、投げることが楽しくて仕方がなかった。大学時代は唯一ベンチに入った4年春のリーグ戦時に背番号36をつけて神宮球場のブルペンまで上がった。ついぞ交代を告げてもらえることはなく、神宮球場の電光掲示板に「小川」を輝かせることは出来なかったが、「36」という数字は今でも大事にしている。「36」はエースナンバー「18」のちょうど2倍。つまり私は「専修大学のエースまで半分の力しか及んでいないということか」と神様に告げられたような気がした。野球力とは人間力。メンタル面も含めてイチ大学のエースにはるには人間として半分力が及んでいなかったということだ。
私の考えるエース像とは、「この選手をマウンドに上げて負けたら仕方がない」と思わせる存在である。そしてチームが一番苦しい時にそのピッチングでチームを勝利に導ける投手、味方のエラーやミスを全て背負ってでも抑え切ってチームメイトを救える投手、そんな投手である。私のように自分が良いピッチングが出来なかったことを味方野手のエラーのせいにしたり、努力の足りていない自分自身にベクトルを向けられなかった投手はエースになんてなれるハズも無かった。
我が東京和泉シニアが過去に11度関東大会に出場しているが、その時には必ず「エース」と呼べる存在の投手がいた。この度対戦させて頂いた新宿シニアさんのようなチームに勝とうとするならば、あの強力打線をある程度封じられる存在がいないとさすがにこれ以上は勝ち上がれない。夏の大会までもうあと2ヶ月しかないが、そういった存在が現れてくることを期待している。