2023年3月12日(日)
練習 @坂東グラウンド
春の大会が終わって迎えた最初の週末。上着を着ていると汗ばんでしまうような暖かい陽気の中、土曜日は秋ヶ瀬、日曜日は坂東で2日間きっちり練習をした。夏の大会初戦は5月7日だからもう2ヶ月を切っている。2ヶ月ということはつまり準備期間は8週。我がチームは水曜日も活動しているが、硬式ボールを握れるのは週末だけだから、祝日を除けば8週×2日で16日間しかない。1年は本当にあっという間だけれど、毎日毎日子供達のことを考えない日は無いし、コーチ陣の顔が思い浮かばない日も無い。高岡姉さんとは毎日連絡を取り合って、週末グラウンドに出れば子供達と真剣に向き合って、そうして今年も1年間頑張ってきた。昨年のような悔しい想いはしたくない。限られた時間しか残されていないが、出来る限り準備して挑みたい。
WBCが盛り上がっている。私のような野球ファンにはたまらない大会だ。第1回、2回大会を連覇して日本野球の強さを世界に知らしめたが、第3回、4回大会は共に準決勝で苦杯をなめた。第1回大会前は強化試合も空席だらけで国民の関心も薄かったが、第3回大会頃から各国の大物メジャーリーガーが参戦するようになり、WBCが徐々に世界で注目を浴びるようになってきた。この度の第5回大会では世界一に返り咲くべく、大谷翔平選手やダルビッシュ有選手などが参戦し史上最強メンバーが揃ったと言われているが、しかし他国チームも「自国史上最強メンバー」となっている国ばかりである。プールBでは圧倒的強さで1位突破した日本だが、今後の戦いは熾烈を極めるだろう。
そんな侍ジャパンに初めて日系人の選手が代表に招集された。名前はラーズ・ヌートバー選手。招集が決まった時には懐疑的な意見も多かったが、始まってみれば1番打者として打線を牽引し、守ってはスーパープレイを連発。日本野球ファンの心を鷲掴みにし、中心選手として大活躍している。印象的なのはそのファイティングスピリットだ。一塁まで全力疾走し、球際では何振り構わず飛び込んでチームを救う。ヒットを打てば塁上で咆哮しチームを鼓舞する。ペッパーミルパフォーマンスはもうファンの間でもお馴染みになったが、それ以上にその気迫に圧倒される。「全力を怠らない」なんて当たり前のことだけど、その真剣な気持ちがプレーに現れているから国民が応援したくなるのだと思うし、彼がメジャーリーガーたる所以なのだと思う。
ヌートバー選手は2018年MLBドラフト8巡目(全体243位)でセントルイス・カージナルスから指名を受けいている。メジャーデビューは2021年6月だから、約2年間はマイナーリーグでプレーし厳しい競争を勝ち抜いてメジャー昇格を果たしている選手だ。そしてメジャーリーグでは結果を残し続けなければ即マイナー降格となり、一度降格するとなかなか再昇格するのは難しいと言われている。日本人選手の中にはメジャーリーグに挑戦するもマイナー降格し再昇格出来ずに日本へ帰って来た選手が何人もいる。世界最高峰の舞台とは、世界最高峰の選手が集まる激しい競争世界なのだ。それが日常となっているヌートバー選手にとって「全力を怠る」なんて有り得ないのだと思う。
そしてそれでいて野球というスポーツを楽しんでいる。日本人特有の「背負う」雰囲気を感じない。ダルビッシュ有選手も「人生の方がよっぽど大事、野球なんかで落ち込む必要はない」とコメントしていたが、アメリカの選手はそういうメンタリティーが通常なのだと思う。日本では「野球の為に全てを犠牲にすること」が美徳とされていた。私もそうやって教わって育ったし、若い時に刷り込まれているからそういう考え方が当たり前だった。でもヌートバー選手やダルビッシュ有選手のコメントを聞くと、自分自身が「何と狭い世界で野球をやっていたのだろう」と改めて気付かされる。30代前半くらいまでかな…。日本という小国の、たかが小学・中学・高校・大学で教わった野球が、いつの間にか野球の全てだと勘違いして長い時を過ごしてしまっていたように思う。でもだからこそもっともっと勉強して、この野球というスポーツの奥深さ、面白さ、楽しさを知りたいと思う。そしてそれを中学生に伝えたい思う。
WBCは普段見ることの出来ない異国の野球を見る良いチャンスだ。「こんな野球もあるのか!?」と思わされるようなシーンに出逢えたらまた勉強になる。第1回~4回大会を思い返せば名シーンが蘇ってくる。第1回大会のデビッドソン球審世紀の大誤審、第2回大会は大不振に陥ったイチロー選手が連覇を決める決勝タイムリー、第3回大会は台湾戦で井端選手が9回土壇場で放った同点タイムリー、第4回大会はオランダ戦で菊地選手が魅せた超美技の数々…。超一流選手達がより真剣になって戦う場だから、今大会も感動する場面が見られそうだ。16日(木)の準々決勝が待ち遠しい。相手はあのメジャーを代表する名捕手マイク・ピアッツァが監督するイタリアだ。強そう~(笑)