2023年3月21日(火)
オープン戦 対叡明高校女子野球部、練馬中央シニア
@練馬中央シニアグラウンド
夏の大会まであと約7週間。これからはオープン戦と春季城北ブロック大会を含めて実戦を重ねてチーム力アップを図っていきたい。祝日は坂東グラウンドが使用できないから、この度練習試合を受け入れて下さった練馬中央シニアさんと叡明高校女子野球部さんには感謝しかない。
以前にも女子硬式野球の隆盛についてこの日記にも記したが、またそこに触れる良い機会になった。花咲徳栄高校女子野球部とも練習試合をさせて頂いたことがあったが、女子高校生ともなるとやはり各自が自立している印象だ。どんなに劣勢に立たされても気持ちを切らせることなく今出来ることに集中し、良いプレーは褒め合い、悪いプレーは指摘し合い続けるその姿は立派だった。当たり前だが中学生男子はそういう部分でまだ幼い。いつも言っているが野球力とは人間力だから、ここでいう「幼い」というのはつまり野球力に乏しいということ。強いチームであればあるほど選手は人間的に成熟しているし例え中学生でも大人びて見えたりするものだ。
試合ではここぞとばかりにエンドラン、バスターエンドランにチャレンジした。夏の大会に向けて盗塁、バント以外に走者を進塁させる術を身に付ける為だ。夏の大会では1試合に1回使えるか使えないかくらいの作戦であるが、誰が走者で誰が打者での組み合わせなら成功する可能性が高いかということを私自身が把握する意味では、これからのオープン戦でもどんどん試して選手の実戦能力を確かめたい。
WBCは決勝で日本がアメリカを破り、14年ぶりの世界一奪還を果たしたカタチで幕を閉じた。最後は「大谷VSトラウト」という日米の両雄で決着を迎えるというドラマを超えたドラマだった。2006年の第1回大会と2009年の第2回大会の優勝の瞬間もテレビに噛り付いて見ていたが、あの時と比べたら日本の野球の質も変わったなと思えた。「スモールベースボール」が日本野球の売りだったが、今大会は前回大会までと比べるとバントや盗塁といった作戦は少なかったように思う。どちらかと言うとメジャーの野球に近づいている印象だ。それだけ「打つ」という技術・体力共に日本野球のレベルが上がっているということだろう。栗山監督はそういった日本野球の現在のレベルや、国際大会で勝ち抜く為に必要な要素をしっかり分析し、そういったことを基に選手を招集してオーダーを組み采配していたのだと思う。
栗山監督が日本ハムファイターズの監督に就任したのは2012年のこと。コーチ経験も無く、また国立大学出身で大学教授の経歴を持つ者が日本プロ野球の監督を務めるのは史上初のことだった。1984年~1990年までヤクルトスワローズでプレーしたのち、1991年~2011年までは野球解説者・スポーツキャスターとして活躍されていた。私の幼い頃の記憶としてはプロ野球選手というよりキャスターとしての印象が強かった。そんな人が日本ハムファイターズの監督になると聞いて当時は驚いた。しかしダルビッシュ有投手がメジャー移籍のためエース不在になり苦戦を予想された就任1年目に、いきなりパリーグを制した。当時まだ思うような結果を残せていなかった中田翔選手を4番で起用し続け、その年で彼の地位を確立する足掛かりをつくらせたと言っても過言ではないだろう。2013年には高校卒業後すぐメジャー挑戦を表明していた大谷翔平選手を強行指名し、交渉の席で「ファイターズに来てくれ」と一言も言わずに説得し入団に漕ぎつけた。その大谷翔平選手には「二刀流」という長いプロ野球の歴史で誰も試みて来なかったプレースタイルに挑戦させた。「私なんかがどちらかをやめさせるなんて出来ない」と言った言葉が印象的だ。2016年にはその二刀流大谷翔平選手を軸に日本一も達成。その手腕に野球界が注目した。
私は栗山監督が日本ハムファイターズの監督に就任した2012年のオフに、ご自身の著書が出版されたことを知り本屋さんに駆け込んだ。それから日本ハムファイターズ監督を退任されるまで8冊ほど出版されたと記憶しているが、全て購入して一部は我がチームバスの書庫に保管してある。シーズン中に何があったのか?選手とのやり取りやどんな背景があってその采配に至ったのか?指導とは?育てるとは?といったことなどが綴られ、私は大きな影響を受けている。
今回のWBCにおいても栗山監督らしい采配が随所に見られた。大谷選手を予選ラウンドの初戦、トーナメントの初戦に登板させ、そして最後はダルビッシュ選手から大谷選手への継投を実現させて世界一を決めた。3.11に佐々木朗希選手を登板させたことや、村上選手が不振にあえいでいても信じ続けたところなど、本当に栗山監督らしいなぁと思いながら見ていた。これは本を読んでいたからこそ分かることだ。きっとこの度のWBCでの軌跡、チーム内部の様子も本として世に出してくれると期待している。絶対買う!(笑)
今大会は各国の大物メジャーリーガー達が軒並み参加を希望し、出場国のほとんどが史上最強チーム結成となったところに大会の成長が見られた。日本も鈴木誠也選手は残念であったが、大谷選手を筆頭にダルビッシュ投手や吉田正尚選手なども参加して侍ジャパン史上最高の選手を揃えて挑んだ。その背景には栗山監督の尽力があったのは言うまでもない。「俺がどうこうじゃなくて日本野球の為なんだ」が殺し文句だったと聞いているが、その想いは全選手が持ち足並みが揃っていたのではないだろうか。その証拠に吉田選手は優勝会見で「これを見た子供達がこの舞台を目指して頑張ってくれたら嬉しい」と言っていた。
私も7歳から野球を始めて来月で42歳になろうとしている。これまで長く野球に携わってきた野球人の端くれとして、やはり野球に育てられたし、野球を愛しているし、だからこそ野球界に貢献したいという気持ちは少なからず持っている。「野球を愛する人達の想いはみんな同じなのだな」と思えたら何だか嬉しかった。侍ジャパンの選手達はそのプレーで人々に夢や希望を与え、さらには経済効果までもたらす力を持っているが、それに比べたら私に出来ることはあまりに小さい。中学生に野球の楽しさを伝え未来の侍ジャパン戦士を生み出す一端を担ってはいるものの、どちらかと言うと子供達に私の方が楽しませてもらっている。私が子供達に教えられ育てられている。何とも微力で心折れそうになることも多いが、我らが侍ジャパンがこの度日本野球が世界一であることを証明してくれて、とても誇らしくまだこれからも頑張ろうと思えた。勇気をもらった。本当に素晴らしかった。
ありがとう!侍ジャパン!!おめでとう日本野球!!!