2023年4月16日(日)
春季城北ブロック大会1回戦 対東板橋シニア @豊島シニアG 4対6●
公式戦で負けた日の夜はなかなか寝付けない。どうしてあの時あんな采配をしてしまったのか?あの時ああしていたら結果は違っていたんだろうか?どうしてあの時勝負に行かなかったのか?どうしてあの時あんなに勝負を急いでしまったのか?…。次から次へと後悔の念が押し寄せてくる。
もちろん勝った時も反省はする。もっとこうすれば楽に勝てたな、あれで流れを一時的に相手に渡してしまったな、相手に助けられたな、俺のバカな采配を選手達が救ってくれたな…。1試合1試合いつも振り返って次の試合ではもっと選手達を輝かせてあげる為にどうすれば良いかを考える。ただ、眠れないことはない。
2月に体調を崩した。最初は「ただの風邪かな」くらいに思っていたのだけど、高熱が出たから慌ててコロナとインフルエンザの検査をした。しかしどちらも陰性。内科で風邪薬をもらって飲んでいたが、喉の痛みが激しくその後も微熱と倦怠感が10日ほど続いた。その間に再度検査してみてもコロナとインフルエンザの反応は出ない。いよいよ声が出なくなってしまって耳鼻咽喉科に行ってみたら、「声帯を痛めてしまっている」と診断された。「その炎症がおさまらないと微熱と倦怠感も治らない」と言われ薬をもらった。
現在は普通の会話くらいなら以前と変わらず出来るようになったが、それでもまだお医者さんからは「なるべく会話を控えて」と言われている。私は営業を仕事にしているし、週末は監督業がある。会話を控えるのはとてつもなく難しい。って言うか無理…。そしてまだ大きな声を出そうとすれば喉が痛いしカスれてしまい、大好きなカラオケにも行けないし結構ストレスだ。薬は今も服用している。
それもあって春季東東京支部大会ではあんまり言語力を発揮出来なかった。だから今一つ選手達に闘志を注入できなかった。監督として何の能力も持たない私だが、少しだけ自信があるのは「物事を人に分かり易く伝えること」だ。これは自分が大学時代に教員免許を取得したり、本をよく読んだり、仕事でプレゼンしたり、そして若い頃から東京和泉シニアのコーチになって人前で話す機会が多かったことから、自然に能力として身に付いたものだと思っている。その点についてだけは我がチームのコーチ陣にも褒められることがあるくらいだ。
そしてもう一つ私の采配スタイルとして、選手達と一緒に熱くなって戦うということだ。声の掛け方ひとつで選手達のモチベーションが上がりもすれば下がりもする。「よーしやってやるぞ」という気持ちにさせられるかどうか、それはイニング間の円陣の時なども意識しているし、例えばバッターボックスに立つ選手に「打て」のサインを出す時のジェスチャーだったり、時にはオーバーなアクションが選手の心に火を付けたりもする。
しかし春季東東京支部大会はその2つが出来なかった。それは体調を崩した私が悪い。私の唯一の武器が使えないという状態だった。中には「指揮官は冷静でいなくてはいけない」という人もいるが、今のところ私の性格的にそのスタイルは合わないと思っている。熱く燃えて、精一杯声を出して、ベンチから選手達へ闘争エネルギーを注ぎ続ける存在でいたい。チームで一番の「熱男」は俺だと思っていた。そうじゃなきゃ監督小川晋ではないと。
そしてこの度春季城北ブロックも初戦で敗れることとなったが、やはりその熱量が無かった。色々な戦術的采配の反省もあるが、私が最も反省したのは戦う心をつくってあげられなかったこと。逆転された後の2イニングはみんな「ヤバイ」と思ってベンチからの声にも熱を帯びていたが、試合の入りはどうも「公式戦」という雰囲気ではなかった。それはきっと私に熱がなかったからだ。ちょっとその私の原点というか、本来のスタイルというか、体調を崩して声が出せなくなったこともあってそれを忘れかけていた。
23期生が最高学年として新チームをスタートさせた2020年夏。雨の日を利用してミーティングを行い1年のチームスローガンを決めた。2019年夏の甲子園で奥川投手や山瀬捕手を擁し準優勝を果たした星稜高校のチームスローガンが「必笑(ひっしょう)」だったことに倣い、漢字二文字の案を選手達で考えた。決まったスローガンは「共進(きょうしん)」と「常熱(じょうねつ)」だった。「共進」には強振と強心をかけ、「常熱」にはもちろん情熱をかけている。チームは秋の関東大会へ出場し、翌年の夏は東東京支部ベスト4。中心選手だった藤澤はベストナインに選ばれ、北九州市で行われた林和男杯にも出場しベスト16入りを果たした。
このスローガンはどちらも現在東京成徳大高校野球部で頑張っている端村純の発案から決定した。どちらも素晴らしい言葉だと思うが、私は「常熱」が好きだった。いつまでもこういう男でいたいなってあの時思った。私自身の体調のこともあったがそれが出来ていないことに気付いた。早くこの喉を治して暑い夏を熱く戦う準備をしたいと思った。