2023年4月23日(日)

 

 オープン戦 対東京北シニア @東京北シニアG  6対3〇

 

 久しぶりに勝った。6得点は全て相手のエラーからでいわゆる「もらった点」だし、守備のミスもあって守り切ったゲームでもない。そういう意味で夏の大会に向けて手応えを感じられたわけでもなく、またもや課題ばかりが浮かび上がったゲームで「なかなか進歩しないなぁ」と思いながら見ていた。ただそれでも「勝利」という結果がチームの空気感を変え、今後好循環を及ぼしてくれるだろうと信じたい。

 

 チームの特徴というか、強みというか、何かを示せたわけでもないゲームの中で、唯一光ったのはシュガニキとオサフ2人の投球だ。2人で7イニング投げて「四死球1」は立派。特に印象的だったのが2人とも打者に対して「攻めのピッチング」が出来ていたということ。バッターはピッチャーの球を打つ為に毎日練習しているし、その想いを持って打席に立っているのだから、当然打たれることもあるし四死球を出してしまうこともあるだろう。もともと野球はミスをするスポーツだし、その恐怖とはいつも背中合わせだ。

 

 だけど失敗してしまうことが怖いからといって逃げ腰でいては、どんなに投球能力の高い投手でもゲームで勝つことは出来ない。投手で一番大切なのは「打者に向かっていく気迫」である。シュガニキはオーシャン杯の頃から結果を出し成功体験を積み重ねることで自信をつけてきた。経験が浅いが故にその自信が確かなものになっていないことから、本人はまだ手探りなところがある様子だが、私から見ればもう十分立派な中学生硬式野球チームの投手だ。

 

 反対にオサフは昨秋の東東京支部大会以降結果を出せず、自信を無くしてしまっていた。長身から投げ下ろすスピンの効いたストレートは、なかなか中学生では投げられない質の高いボールだが、きっとクラムジーにも見舞われて自分の思うようなボールが投げられないでいた。失敗が続けば当然自信を失うし、次の登板ではより不安が大きくなってマウンドに上がらなければならない。不安を抱えたまま投球すればパフォーマンスは下がりより成功から遠ざかっていくという負のスパイラルの中にいた。先週の城北ブロックでも私の中では「ラストチャンス」という想いでマウンドに上げたが、結局マウンドには「投げることに怯えているオサフ」の姿しかなかった。これでは「夏の大会のマウンドを任せることは出来ない」と、あの時点ではそう思った。

 

 しかし先週の水曜日のピッチング練習ではとても内容が良く、「何故そのパフォーマンスを日曜日に出してくれなかったんだ?」と彼に話した。「それだけのボールが投げられるのに何を恐れることがあるのか?思い返してみろ。昨年の北海道で行われた東日本選抜大会では、今までで最も力のある打線相手に勇敢に立ち向かっていってたじゃないか。たくさん打たれたかも知れない。フォアボールも出してしまったかも知れない。だけどあの時は何にも怯えていなかった。投げることが楽しそうだった。俺はそれを出して欲しいんだ」と。そうしたら多分初めて私の想いがオサフに伝わった気がした。オサフの表情や仕草から「今まで何やってたんだろう、いい加減覚悟を決めなきゃ」って想ってくれたように感じた。

 

 土曜日。秋ヶ瀬で投内連携のバント処理プレーでセカンドへ送球しているオサフの姿を見て、もう怯えていないことが分かった。何と言うか、心の焦点が定まっていると言うか、ただひたすらにセカンドへ良い送球をしようとしているだけ。それだけ。そこに「暴投したらどうしよう」とか、「失敗したらどうしよう」とか、そういう結果を先に気にしたプレーの様子は消えていた。その様子を見て「明日の1試合目はシュガニキとオサフでいこう」と決めた。秋ヶ瀬にお客さんが来ていたのでオサフのピッチング練習はほぼ見ていない。だけど「明日は2人が絶対に抑える」と確信していた。予想通りだった。

 

 年明けからオープン戦、オーシャン杯、春季東東京支部、春季城北ブロックと数々のゲームをこなしてきたが、常にゲームが落ち着かなかった。チャプチェをオープナー起用して投手を細かいイニングで繋ぎ、その度に守備位置変更や代打、代走を考えてきた。それはやはり試合でしっかりと投げ切れる投手がいなかったのが原因だ。この東京北戦も決して褒められたゲームではない。守備のミスも出ているし夏の大会直前になって3年生がサインミスしている始末。頭を抱えてしまうシーンが何度もあった。でもどこか安心して見ていられたのは2人の投手に信頼があったからだ。

 

 チャプチェやシブチンは2年生ながらよく投げている。1つ上の学年相手にそれは大したものだ。だけどやっぱり1年長く飯を食い、1年長く練習を積んできた3年生の方が底力を持っていることは間違いない。その想いの強さも含めて。その底力が弱冠芯を外し、僅かでもバットを押し込むことでアウトになると私は思っている。

 

 失敗に怯えるのではなくて、勇気を持って挑んでいく。そうやって投げてくれたらきっと「シュガニキで負けたら仕方がない、オサフで負けたら仕方がない」って思える。それが私が夏の大会のマウンドに上げる決断をする条件なのだ。来週は幸いにも今春の関東大会に出場している江東さんとオープン戦が出来る。打線のレベルが上がっても立ち向かっていけるかどうか?さらに心を充実させて投球して欲しいと思う。

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