2023年10月8日(日)
東東京支部1年生大会1回戦 対東京青山シニア 3対11 ● @東練馬シニアC面G
日曜日、我がチームの1年生が東東京支部1年生大会1回戦を戦った。結果は3対11で敗北。残念ながら2回戦にコマを進めることは出来ず、次戦はフレンドリーマッチにまわることとなった。私は上級生の練習を坂東で見ていたので試合を観ることは出来なかったが、スコアブックをチェックしコーチ陣から試合内容を聞いた。普段、コーチ陣が1年生によく話していることがどれだけ大事なことなのか、改善されなければ試合で勝利することが出来ないこと、この試合を通じて学んでくれたらなと思う。
10月4日(水)、9日(月)祝日と、雨に降られたのでグラウンドでの活動が出来なかった為、杉並区の施設をお借りしてミーティングを行った。秋の大会に敗戦し早一ヶ月が過ぎたが、来春・夏の目標は既に決まってはいるものの、その目的とそしてその目標達成の為にどのようなチームを目指すのかといったところがまだボヤっとしていたので、それを明確にしてチーム全員で共有したかった。ずっとそういった時間をつくりたいと思っていたのだが、なかなか出来ずにいたので有意義な時間になったと思う。
ミーティングを通じて一番感じたのは1年生の成長である。私が話している時の目つきが変わっている選手がいたのを感じた。前回ミーティングを行ったのは6月11日。約4ヶ月前のこと。その時は夏を前に熱中症に対する基礎知識と新チームのチーム目標に対する目線合わせを行っている。1年生が入団してからまだ2ヶ月足らず。あの時の1年生はまだ硬式野球とは何たるかということを全然理解出来ていなかったと思う。しかしそれからたった4ヶ月とはいえ、毎週毎週早起きして練習し、数々のオープン戦や夏合宿、そして秋の公式戦など曲がりなりにも色々な経験をしてきたことで、一歩ずつ大人の階段を昇っているのだと思う。真剣な表情で私の話しを聞いてくれる子が数名出てきていることに心動かされた。
正直な話し、1年生の今の戦力ではなかなか1年生大会で勝利するのは難しいだろうと思っていた。どう考えても守れないからゲームをつくれないし、身体がまだまだ非力でバットも振れなければ走ることも出来ない。ただここ1ヶ月くらいの練習とかオープン戦の様子を見ていて、野球に取り組む意識や姿勢に変化が見られる選手が何人か出てきていることを感じていた。ゆっくりではあるが確実に成長しているのだと実感している。それがミーテイング中の目つきにも現れていたということだろう。目標や目的さえしっかりしていれば、そしてそれに向けて一生懸命に努力していれば必ず報われる。最初は誰だって下手くそだ。大切なのは全力を尽くすこと。今週末のフレンドリーマッチでも是非失敗を恐れず、ただ全力を怠ることだけはせずに思い切ってプレーして欲しい。
話しは変わるが土曜日に5歳の息子の運動会を見に行った。私の父も、そしてカミさんのご両親もわざわざ足を運んで下さった。運動会後には夕方から同じクラスの子供達とその父兄と公園に行って懇親を深めた。驚いたのは意外と父兄の方々が同年代だったこと。ウチは息子を授かるまで時間がかかったから、「保育園の父兄の中では最も年寄りになるんだろうなぁ~」って勝手に思っていたけど、普通に年上のご夫婦もいたし、年下の夫婦も2つ3つしか違わない人がほとんど。私は東京和泉の活動があるからいつもこういった集まりは欠席でカミさんに任せっきりな為、「レアキャラ」扱いをされていたが、この度は温かく迎え入れて頂き有難かった。同年代の何が楽しいってやっぱり同じ時代を生きているから話しの感覚が合うこと。学生時代に流行ったテレビや歌の話しをしても全てが通じるのでストレスが無い。「今仕事でこんなことで苦労している」といった話をしても共感をしてもらえるし「みんな同じようなことで頑張っているのだなぁ~」と思うと勇気も湧いてくる。
解散になる直前に11人の子供を1人で相手した「氷鬼」はきつかったなぁ(笑)。お酒も入っているから走ると目が回って気持ち悪くなる。息が上がるのも早かったし注意力も散漫になるから、タッチして凍らせた子もすぐ他の仲間にタッチしてもらっちゃって氷が解けてしまう。まさにエンドレス氷鬼(汗)。でも息子が本当に楽しそうな顔で1日を過ごしていて、とても心がホッコリした。保育園のご父兄の方々との時間も含めて、このような素敵な時間を過ごさせてもらったのは、東京和泉の活動を見てくれたコーチ陣をはじめとしたチームスタッフと親御さん達のご協力のお陰だ。
つい5年前の私ならこんな考えにはなれなかった。「指導者たる者、全てを犠牲にしてチームに尽力すべき」と本当に心の底からそう思っていた。でもだからこそ選手達にもそれを強要していたような気もする。「野球で結果を出したければ全てを野球に捧げろ」と。現在のように他競技の為に活動を欠席することなど認めていなかったし、冠婚葬祭や英検、通院などによる欠席にも抵抗があった。今思えば何と窮屈に活動していたのかと思う。そうでなければならない理由はどこにも無い。しかし私自身が若い頃にそういう風に刷り込まれているから感覚を変えることがなかなか出来なかった。
事実、土曜日にとある高校関係者から「今日は練習をどちらでやられてますか?」とお電話を頂き、「秋ヶ瀬でやってますけど私は息子の運動会に来ているのでいませんよ」と話したら、「えっ!そうですか…」とビックリしたような受け答えだった。まだまだ野球界ではそれが非常識になってしまう世界なのだ。でも私は今、野球界のそういうところを変えられないかと思うようになった。本心は野球に夢中になって欲しいし、野球中心の生活になって欲しいとやはり思っている。人との違いを生み出そうと思ったら人より努力しなければならないのは当然のこと。でもそれをこちら側が強要するのではなくて、我々が「野球が楽しい」って中学生に思ってもらえるような環境を提供することで、自発的にそうなってもらえるようにすることが役目なのではないかと思う。「野球楽しい、だからグラウンドに行きたい、他のことで野球を休むのは惜しい…」そうならないといけない。もちろん我がチームがどこまでそれを実現出来るかは分からないが…。
それにアメリカなどではジュニア世代は色々なスポーツを楽しんでいる。日本のように「何かを成し遂げる為には1つのことに集中して他を犠牲にする」ということが美徳とされるような文化は無い。先日バスケW杯で日本代表のパリ五輪出場に大きく貢献したジョシュ・ホーキンソン選手は高校生までバスケと並行して野球もやっていて、150km近いボールを投げる有望株だったという。他にもアメリカ4大スポーツと言われるアメリカンフットボールやアイスホッケーなど、季節に応じて種目を変えるなどして複数競技に並行して取り組むのが当たり前になっている。徐々にではあるが日本でもそういう動きは始まっていて、日大豊山高校の光永翔音さんは競泳日本一の選手でありながら野球部に所属し、インターハイと甲子園という二つの夢を追う二刀流ということで話題になった。
私はこれまでの日本のスポーツ界における美徳というか考え方全てを否定するつもりはない。むしろそれで得られるかけがえのない瞬間も間違いなくあると思う。そういう生き方もまた格好いいし素敵だと思う。ただそれだけでもない。「こうでなければいけない」ということは無いハズだ。今夏に慶應義塾高校が甲子園で優勝した際に森林監督が話された「多様性」という言葉にはそういう意味合いのことも含まれているのではないかと思う。私の後に続く世代の人達が、中学硬式野球クラブチーム他の監督になった際、「自分のプライベートが優先されるようなことがあってはならない」といったような、そんな風潮が野球界から消えていて欲しいと願う。