2024年1月28日(日)
オーシャン杯2日目 @オーシャンフィールド第3球場
第1試合 対南アルプスシニア 7対1 ○(第3球場)
第2試合 対鎌倉シニア 0対7 ●(第3球場)
2日目の初戦は昨年に引き続き2年連続で南アルプスシニアさん。若林総監督が同い歳で同じ東都大学野球リーグの仲間と判明したのはちょうど昨年のオーシャン杯でのことだ。今大会でも再会出来て嬉しかった。また初戦の結果により第3グループに甘んじたにも関わらず、また南アルプスシニアさんのような西東京支部の強豪チームと対戦出来ることは春の大会へ向けたチーム強化という点でとても嬉しいことだ。それに昨年は4戦のうち唯一敗戦を喫した相手。リベンジマッチにもなる。しかし試合は終わってみれば7対1と大差で勝利した。それは何より26期生チームがこれまでで最高のベストゲームを見せてくれたからだ。四死球0、失策1、あと失点した2回に牽制球でセカンドランナーを誘い出したのに、ショートのトクちゃんが捕球ミスして3塁進塁を許してしまったことを守備のミスと数えても、1試合を通して守備のミスが2という試合になった。これまでの26期生チームは得点能力はあるが、投手を中心とした守りに弱さが目立ち勝ち切れないゲームが多かった。今年のオーシャン杯でも初戦は5得点、2戦目は7得点、そして第3戦となったこの試合も7得点と、打力、走力といった力は持っているのだ。「5点とっても6点とられる」というチームだったのである。そうなってしまっていた原因は何と言っても投手力。四死球の多さと無駄球の多さ、それによって投球テンポが悪いため守備のミスを引き起こしやすく、自滅する試合が続いた。それをこの試合で改善させたのがチャプチェだ。7回53球、被安打3、四死球0で初完投勝利。申し分ない。圧巻である。常にストライク先行の攻めのピッチングで投球リズムも良く、野手も守りやすそうで好プレーが続く正のスパイラル。セーフティバントをされた際も機敏な動きで対応するマウンド捌きはまさにエースの風格。チャプチェが別人のようだったのはもちろんだが、それによってチームが生まれ変わったようだった。久しぶりに我がチームの選手達が野球らしい野球を見せてくれた(笑)。
そのキッカケとなったのはチャプチェのフォームチェンジだ。実は昨年の12月頃からオーバースローのチャプチェをサイドスローにしようか迷っていた。上から投げようとするあまりどうしても身体を反り過ぎてしまうし、さらにクロスステップしてしまう癖があって、ボールを叩きつけてしまったり引っ掛けてしまったりという状態がなかなか改善されなかった。腕を下げれば「反り」は自然に無くなるし、サイドスローなら多少のクロスステップは逆に武器になる。そう思ってはいたが、ただ彼の身長がどんどん伸びている時期で、それにもともと運動神経が良いタイプの選手ではないので、大きくフォーム変更することで感覚をより狂わせてしまわないか不安だった。しかし1月14日(日)に埼玉栄高校女子野球部とオープン戦をさせて頂いた際に、同じ課題が一向に改善されていない様子を見てもう迷っている暇は無いと、とうとう決断を下した。たった2週間でオーシャン杯に入ることとなり、その間の神奈川綾瀬さんとのオープン戦も雨天中止となってしまったこともあって、ぶっつけ本番のようなカタチとなったが、彼は最高の結果で応えてくれた。サイドスローへのチャレンジが功を奏したと言える。でもそれはあくまでキッカケであって、これまでの彼の日々の努力が報われたに過ぎない。チャプチェはピッチャーの地味な練習を嫌な顔ひとつせず毎週毎週真面目に取り組んでいる。人は結果が出なければ逃げたくなるし、辛い練習はやりたくなくなる。きっとメンタル的に負けそうな時もこれまで沢山あったハズ。でもチャプチェはある意味「鈍感力」があるというか、いつも同じようなモチベーションで東京和泉の活動に来て練習に取り組める。そういった積み重ねがあって、ピッチャーをやる上でのベースとなるフィジカルやメンタル面が強化されていたからこそ、この度のスーパーピッチングが生まれたのだ。野球の神様はちゃんと見ている。努力し続けられる選手には必ずご褒美を下さる。
2日目2戦目。オーシャン杯最後の試合となった対鎌倉シニア戦。これまでの3試合はほとんど新3年生が出場していたので、この試合は新2年生にチャンスを与えたいと思った。序盤はゲームをつくれたかに見えたが、4回以降は守備のミス連発で5回コールド負けとなってしまった。全員を試合に出場させたいと思っていたのに、コールド負けとなってしまったので起用出来なかった選手が生まれてしまった。私としては「可哀想なことをしたな」と思ってはいるが、一番は選手達に悔しさを感じて欲しいところ。これまで何度も何度も同じように守備面で崩れてゲームを壊してしまうことを繰り返している。まだ中学生だし、新3年生が南アルプス戦でようやく野球らしい試合を出来たくらいだから、新2年生に難しいことは分かっている。でも一番感じるのはそういうゲームを繰り返しているのに、普段の練習からそれを改善しようとする姿勢が見られないこと。もちろん失敗を恐れてプレーしてはいけないけれども、エラーして良いハズは無いし何より恥ずかしいことである。練習からただノックを受けているだけ。エラーしても暴投しても平気な顔をしているし、練習の合間を使って「ノック打って下さい」と言ってくる選手もいない。昼休憩となれば時間いっぱいまで楽しそうにお話ししながら時間をかけてご飯を食べている。それは別に悪いことをしている訳では無いのだけれど、何か自分達で普段の生活から変えていかなければ、同じことをやっていても同じ結果しか得られない。打てないのであれば家でバットを振る数を10回でも増やすとか、打球に追いつけないのなら毎日3kmくらいランニングするとか、試合する相手だって勝ちたいのは当たり前なんだから、その相手を上回る毎日をすごしていなければ良い結果なんて得られるハズがない。週末や試合の時だけ自分の身体を思うように動かそうなんて、そんな都合の良い話しは無い。
何よりも、試合に出るということはその責任を伴う。自分がエラーしてしまえばチームの勝利は遠のくし、チャンスで打てなければチームに迷惑がかかる。野球はチームスポーツだから、試合に出る以上はその責任を果たさなければならない。その責任を果たせるだけの毎日を過ごすのは選手個人個人の当然の義務だと思っている。それは選手だけではなくて監督である私も同じこと。チームに何らかのカタチで貢献出来ないかと、日々勉強しているつもりだ。毎日野球指導者や組織論といった類の本を読むし、ヤフーニュースやYouTubeなどにもいつも目を通している。質の良いノックが打てるように、あるいは打ちやすいボールを投げられるように、毎日ストレッチを欠かさず、そして週に一度はワールドウイングにも通っている。それが良いかどうかは分からない。でも少しでも最後の夏の勝利に近づくため、「自分に出来ることはやろう」という私の想いだ。私は入団式の時に、新入生に向けて必ずこの言葉を言っている。「チームに何かしてもらおうと思うのではなく、あなたがチームの為に何が出来るかを考えて下さい」と。その言葉の意味をもうそろそろ新2年生にも分かってもらって、日々の練習や生活から見直して欲しいと願うばかりだ。
やはり公式戦のユニフォームを着て4試合もすると、良いところも悪いところも出る。収穫と課題がハッキリする。毎年この大会に出場させて頂いているのは春の大会前に公式戦の緊張感を味わうことも含めてそこが狙いだ。オーシャン杯は宿泊を伴うから色々と下準備に骨を折る姉さんやご父兄の方々には感謝しかないが、そのお陰で選手達は真剣勝負の場を楽しんでくれたのではないだろうか。天候にも恵まれ今まで出場した過去7回の中で最も暖かかった。例年は霜が降りてしまってグチャグチャの状態でプレーすることを余儀なくされるが、今年に限ってはグラウンドコンディションも良くとても恵まれた環境での2日間となった。初日の夜、指導者懇親会の乾杯の挨拶では、「今日皆様にお集まり頂いて、第13回オーシャン杯が開催出来ますことは大変喜ばしいことですが、能登半島地震で被災された方は今も苦しんでいます」という話があった。この度の第13回オーシャン杯開催は主催者である東京青山シニアさんのご尽力はもちろんのこと、沢山の人の協力で大会が成り立っていることを改めて認識させられ、そしてそのことにより感謝の気持ちを持たなければならないと強く思った。