2025年1月19日(日)
オープン戦 対町田シニア 2対8 ● @町田シニア G
私が監督になって初めて、町田シニアさんとオープン戦をさせて頂いた。昨夏、「第1回林和男旗杯 東西東京卒業生大会1回戦 対福生シニア戦」の試合会場が、町田シニアさんのグラウンドとなり訪れた際に、町田シニアさんの事務局長と監督さんとご挨拶させて頂いた。その後何度か富山監督さんとは連絡を取り合いこの度の機会を頂いた。実は2007年に私が東京和泉シニアのコーチ時代にも一度、オープン戦でお邪魔させて頂いたことがあるのだが、だからオープン戦でお邪魔するのはおよそ18年ぶり。現在東京和泉シニアでコーチを務める田中剛が現役中学生の時である。あの時も冬の寒い時期で、霜が降りてしまってグラウンド状態が悪く、グラウンドにガソリンを撒いて火をつけ乾かしているのを、「何とも画期的だな」と思いながら見ていた記憶がある。
町田シニアさんは1976年に創立されたチーム。50年にも及ぶ歴史を持つ上に、過去にはジャイアンツカップへの出場経験もあって、近年も毎年のように関東大会へ出場している。昨年は春、そして秋も関東大会に出場していて、上部大会への出場を目指す我がチームにとってこの度のオープン戦はとても有難い機会を頂けたと言える。
ゲームは久しぶりの後攻。初回を三者凡退に打ち取り、裏の攻撃で幸先よく2点を先制。ゲームの主導権を握ったかに見えたが、「点を取った次の回の先頭打者」の出塁を許してしまい、その後もミスが重なって2回表で同点に追いつかれてしまう。その裏の攻撃を三者凡退で終わらせてしまったので完全に相手チームに流れを渡してしまった。3回表には6長単打を浴びせられ打者一巡して6失点。勝負あった。
秋に関東大会に出場しているチームと、こちらは2連敗で1勝も出来なかったチーム。力の差があることは試合前のノックを見ても一目瞭然。でも野球は力が上のチームが必ず勝つとは限らない。そこが面白いところ。自チームより力が上のチームから勝利する為には、まず慌てさせることが重要。「あれ?何かいつもと違うぞ?」と思わせ、終盤までリードを許していたり、僅差のゲームとなれば「こんなハズじゃない」と焦りを生み、普段では考えられないようなミスを誘発することが出来る。終盤にプレッシャーがかかるのはむしろ力が上のチームの方なのだ。だから初回の入りは100点だった。2回以降の打撃を見れば相当な攻撃力を持っているチームであったが、初回の守りを三者凡退で切り抜け、裏の攻撃で2点を先制したのだ。これ以上ない立上りだった。
しかし2回表の守りで最高の立上りを台無しにしてしまった。「点とった後の先頭打者を出塁させてしまってはいけない」は野球のセオリーの一つであるが、それはまだ仕方なかったとしたにせよ、次打者の何でもない内野フライを落とし同点のランナーの出塁まで許してしまった。犠牲フライで1点を失い、そこから何とか2死までこぎつけたものの、結局8番打者に同点のタイムリーも浴びた。ここがまだ1失点のみでリードした状態で次のイニングを迎えられたら、また展開も違ったことだろう。2巡目をもう少し遅らせることが出来れば、継投策がハマる可能性も高くなる。打たれてからの継投じゃなくて、打たれる前の継投を実行したい。
コウジュはナイスピッチングだった。ちょっとずつ身体に力が付いてきたかな。バッティング練習などを見ても「だいぶバットが振れてきたな」と思って見ていた。腕を思いっ切り振って投げてもブレない下半身や体幹の強さが必要で、その為に毎週毎週地味なトレーニングを重ねている。その効果が少しずつ出始めているのかな。あるいは家で取り組んでくれているのだろうか。中学生くらいならその気になればいくらでも自分の世界を変えられる。毎日ちょっとずつで良いからコツコツと努力を重ねていれば、必ず目に見える結果となって現れる。中学生には無限の可能性が広がっている。ぜひみんな後悔しないように頑張ってもらいたい。
この度のオープン戦で一番残念だったというか、「もっと学んで欲しいな」と思ったことは、試合前の相手チームのシートノックを誰も見ていなかったこと。私はもう癖になっているからキャッチボールやトスバッティングの時から相手チームの選手を見ているが、それは選手達にも意識して欲しい。試合に勝つ為のヒントがそこには沢山ある。外野手の肩は強いのか弱いのか、それを見なければ次の塁を奪おうとする際の判断材料が無い。捕手の肩は強いのか弱いのか、それを知れば盗塁の時に役立つ。またプレーボール前の投手の7球の投球練習を見れば、球速は速いのか遅いのか、変化球は何を投げてくるのかを知り、タイミングを計ることが出来る。
それらを「見る」ということはつまり、試合に勝とうとする意志の現れでもある。だから反対に「見ない」とは、「勝とうとする意志が無い」ということになってしまう。我々指導者スタッフが「見て」、分析をして、作戦を立て選手に指示するということも当然あるが、やはりそこにプラスアルファとして選手達自身がそれを実践出来るようになって欲しい。進塁するかしないかの判断は一瞬の迷いが命取りになるし、そこはベンチで指示のしようがない。走者本人の判断が全てである。そこには根拠が無ければならない。試合前のシートノックなどを「見る」とは、「これから戦う上での根拠づくり」とも言い換えられる。
町田シニアさんとこの度ご縁を頂き、3試合貴重な経験をさせて頂いた。ゲームをやらなければ、試合前の「これから戦う上での根拠づくりの不足」という点にも気付けなかった。来週はオーシャン杯だから、そこでこの度の経験を活かせるようにしたいと思う。