2025年3月9日(日)

 

 春季東東京支部大会敗者復活3回戦 対新宿シニア 0対11 ● @練馬北シニアG

 

 春季東東京支部大会を終えた。4回コールド負けで敗者復活3回戦敗退となった。先週は足立シニアさんを相手にノーエラーゲームを実現させ5回コールド勝ち。しかしこの度のゲームではエラーが4イニングで8個、守備の崩壊がそのまま試合結果に現れた。もちろん、新宿シニアさんは今春の全国選抜大会に出場するチームだけあって個々の能力も高かった。コールドを決められた4番打者の逆方向へのホームランは、ピッチャーをサヤからコウジュにスイッチして迎えた最初の打席だったので、初見で捉えられたことになる。下位打線に力は無かったが、足の速い選手が揃っていたしバントもきっちり決められた。それぞれに役割を果たせる力を持っていた。相手のレベルが上がれば守ることも難しくなる。打球は速くなるし走力があれば守る側のスピードも要求される。風も強く吹いていた中での試合ということもあって、先週より難しい条件が揃っていたことは確かだ。しかし「難しいから出来ない」では勝てない。力のあるチームが相手でもゲームをつくれるようにならなければ、夏の大会も勝ち抜くことは出来ない。

 

 ただ春の大会4戦を総括すると、昨年秋からはチームの確かな成長の跡が見られた。まず1勝も出来なかったチームが2勝したこと。足立シニア戦ではノーエラーゲームを実現させたこと。最高で1試合2得点だった秋に比べ、初戦に3得点、2戦目に4得点、3戦目に10得点と得点を奪えるようになったこと。出来なかったことが出来るようになっているのは、日々の活動の成果以外何物でもない。私は秋季大会の惨敗後、選手と親御さん達に約束をした。「必ず春・夏に勝てるようなチームにする」と。「だから信じて付いて来て欲しい」と。「いつも多大なご協力を頂いているご父兄の皆様と、勝って一緒に喜べるようにする」と話した。今大会の結果で「約束を果たせた」とは思っていないし、この度の試合の敗戦を正当化する気も毛頭ないが、選手達はそれなりに手応えを得ることが出来たのではないだろうか。またご父兄の方達も選手達の成長を実感してくれているのではないかと思う。

 

 とはいえ夏の大会までもう2ヶ月を切った。27期生を中心とする今年のチームもいよいよ大詰めである。チームが成長しているとか、誰に何を思ってもらうとか、そういうことではなくて、もう「夏の大会に如何にして勝つか?」焦点をそこだけに絞って準備していかなければならない。この春季大会で見えた課題、それをどこまで詰めていけるか?そして何を武器に夏の大会を戦うのか、チームをチームにする総仕上げである。

 

 先日、工藤公康氏の講演を聞いた。選手として11度、監督として5度、計16度の日本一を達成している人の世界とはどんなものなのか?企業の経営者向けの講演ということで、私が勤める会社の社長に案内が来ていたのだが、どうしても私が聞いてみたくて無理矢理譲って頂いた。目黒駅から程近いホテル雅叙園東京の一室で行われたのだが、正面扉から入場し登壇される直前、最前列の席を確保した私のすぐ横を通った時、子供の頃から憧れた人を目の前にして身震いがした。講演の内容は主にソフトバンクホークスの監督時代にご経験されたことを例に、組織のリーダーとしての在り方、コーチ、選手との接し方といった組織運営についてのお話しがメインとなった。講演が終わり最後の質問コーナーで思い切って手を挙げた。

 

私:「関都建設の小川と申します。本日は講演お聞かせ頂きましてありがとうございました。私は平日はサラリーマンやってますが、週末は東京和泉シニアという中学生硬式野球クラブチームで監督をしています」

工藤氏:「あっ、そうですか」

私:「はい。ソフトバンクホークスさんで言いますと、長谷川勇也と大学時代に一緒に野球をやっていました」

工藤氏:「えっ、本当ですか!」

私:「(よしっ、掴みはOK!!)はい。工藤様にご質問なのですが、私は監督として選手、チームスタッフ、そして親御さんが三位一体となって一緒に頑張るチームをつくりたいと思っています。ですが、チームには色々な考え方を持った人が集まりますので、皆の足並みを揃えることは容易ではありません。ソフトバンクホークスさんは当然日本一が目標になるのだと思うのですが、工藤様があの巨大戦力を束ねていく上で意識されていたことはございますか?」

工藤氏:「失敗を許容出来るか?が重要じゃないでしょうか?選手に対しては勿論ですが、コーチ陣に任せて上手くいかないこともあります。やらせて、経験させて、そして次に向かせる。最後は、私が何もしなくても皆が日本一の為に動いてくれるようになっていましたよ」

私:「ありがとうございました」

 

 質問している間、足が震えた。正直、ここに書いていることが一語一句間違っていないとも言い切れない。憧れの人を前にしていること、そして周りの聴講者はみんな企業の経営者ばかりということもあってより緊張した。講演終了後、トイレに向かって歩いている時に再びお会いすることが出来た。ここでも意を決して「先ほどはありがとうございました。もしご迷惑でなければ私の名刺をお渡しさせて頂いてもよろしいでしょうか?」とお願いをした。「もちろん良いですよ」と快く引き受けて下さり、工藤氏の名刺も頂いた。「何かあれば連絡下さい」とまで言って頂けた。

 

 次の日、名刺に書かれたメールアドレスにメールを打った。講演での質問の件、名刺交換させて頂いたことへの御礼、そして大学時代の長谷川とのエピソードを少し添えて。残念ながら今のところ返信は無い(笑)。でもこの度の機会をキッカケにご縁を頂き、もし我がチームに野球教室に来て頂けるなんてことになったら、我がチームの選手達にとってそんなに嬉しいことはない。もちろん、我々指導者スタッフだってきっと多くを学べることだろう。そんなことを夢見ている。
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