2025年7月13日(日)
オープン戦 対稲城シニア 5対12 ● @稲城シニアG
28期生チームの目標と目的を決定した。「目標:関東ベスト4」、「目的:チームに関わる全ての人を笑顔にする」である。
先週の千葉北シニアさんとのオープン戦後、4戦4敗したことに対して何の悔しさも危機感も無い選手達の様子を見て、このままただ毎週のスケジュールを消化していっても、何も成し遂げられないと思った。水曜日にグラウンド練習を中止し、杉並区の施設を借りて「ミーティング」と題し、今年のチームの目標と目的を決める時間とした。しかしその中でもまだまだ意識レベルの低さを痛感した。一生懸命考えていない訳ではないと思うが、そこに真剣さが感じられなかった。だから施設の時間を延長して再度考え直してもらったくらいだ。目標と目的を決めるというのは、これから1年の自分の生活の基準を決めることとも言い換えられる。その目標と目的が自分の毎日を支配するものでなくてはならない。
関東ベスト4とは大きな目標だ。今夏の関東大会ベスト4は世田谷西シニアさん、取手シニアさん、東練馬シニアさん、そして武蔵府中シニアさんだ。どのチームも100人以上の部員を抱えるビッククラブである。いずれのチームも実績、組織力他全て、我がチームとは比べ物にならない。そこに割って入ろうとするならばそれ相応の覚悟を持たなければならない。単なる夢物語を語る為だけに、わざわざグラウンド練習を中止にしてお金を余計に払ってまでその時間を設けたわけではない。どんなに難しいミッションだとしても、そこに真剣さがあるかどうかだけは選手達に問いたかった。
我がチームの全国大会出場は2007年にまで遡る。もう18年も遠ざかっている。その間、力を持った年が無かった訳ではない。でも殻を破れない。監督になったのは2017年。それからチームを変えようと必死にもがいてきた。指導方針やチーム理念も一新し、試行錯誤しながら現代社会にコミットしたチーム運営を目指してきた。グラウンドの雰囲気は良くなり人が集まり始めた。コーチ時代に感じていた選手が抱えてしまうストレスはかなり減ったように思う。でも選手の熱量は思い描いていたものとはまだ乖離がある。
私は選手時代から「なぜ野球はこんなにも辛いものなのか?」と疑問を抱いていた。監督コーチが怖い存在で、高圧的な指導を受けることがスタンダードだった。相手チームの選手と戦うのではなく、自ベンチと戦っていた。余計なプレッシャーやストレスがかかる毎日だった。指導者から言われたことを実践しないとペナルティが課せられるので、やり遂げることに必死だった。結果私は指示待ち人間として社会に出た。言われたことに対しては粘り強く取り組めるが、指示が無ければ動けない人間になってしまっていた。旧態依然の体質だった野球界が生んだ負の遺産の一人である。
野球はスポーツなのだからもっと楽しいもののハズ。そういう環境をつくって選手達が自ベンチではなく、純粋に相手と真剣勝負出来るような、そんな野球の本当の楽しさに触れさせてあげたいという想いを抱いて指導する側についた。しかし23歳で私がコーチになった時は、まだまだ監督コーチの恐怖政治は続いていた。私自身も先入観から選手達と一線を引かなければいけないという固定観念に囚われていた。驕り高ぶっていた自分は「俺の言うことだけ聞いておけ」と言わんばかりに、結局は選手達を「従わせていた」と思う。
しかしあるコトをキッカケに、このままでは自分と同じ負の遺産を我がチームから輩出し続けることになってしまうと気付いた。試合になるとサインや監督コーチからの指示に対しては愚直に動こうとするが、劣勢の局面に立たされた時、自ら何か工夫して打開していける選手がいない。思考が停止してしまっていて、これでは監督コーチの操り人形だと思ってしまった。普段から勝つ為にはどうしたら良いかを考えていない人間に、試合になって突然やれと言っても無理な話しだ。だから日常的に考える癖をつけさせなければいけないと思った。だが私がいくら提案しても当時の監督やコーチ陣には受け入れられなかった。だから私が監督になった時、そんな旧態依然の体質から脱したチームづくりを目指した。
野球はスポーツである。楽しいものでなくてはならない。楽しければ野球を好きになるだろうし、好きになれば上手くなりたいと思う。上手くなりたいと思えば努力する。努力するから強くなる。選手達が野球を楽しいと感じられる環境を提供すれば、選手達のメンタリティーがそんな正のスパイラルに回ると信じて疑わなかった。
でも現実はどうだろうか?ケツを叩かれなくなった選手達はやはりどこか甘えているように感じる。私が監督になってからの戦績も、その以前と然程変わらない。むしろ落ちているとさえ感じている。選手達が野球に夢中になるような、そんな熱量に溢れたチームを思い描いていたが、そこまでの真剣さがいま我がチームの選手達にあるかと言われたら、物足りなさを感じずにはいられない。「所詮中学生なんてそんなものだ」と諦めるのは簡単だが、私はどうしても諦め切れない。中学生には大人では計り知れない無限の可能性がある。そう信じてやまないのだが…。
「本気になるとは、自分の世界を変えること」
学法石川高校野球の佐々木監督は、ご自身の著書にそう書かれていた。選手達が本気になる為には、私は何をすれば良いのだろうか。