2025年8月24日(日)

 

 秋季東東京支部大会1回戦 対東京北シニア 10対3  〇 @豊島シニアG

 

 2年ぶりに秋季東東京支部大会1回戦を突破した。夏季関東大会も勝てなかったので、久しぶりの公式戦勝利の味。選手達の目標はもっと高いところにあるので、たかが1勝で喜んではいられないのだが、それでもやっぱり公式戦の勝利は嬉しい。どのチームよりも早かった新チームへの移行。その利点を活かして約3ヶ月強もの間、チーム強化、チームビルディングに努めてきた。まだまだ途上ではあるものの、28期生を中心としたチームのカタチが少しずつ輪郭を帯びてきた中で大会に入ることが出来た。

 

 試合は終始我がチームのペースで進んだ。中盤に相手チームへ流れが傾きかけた時はあったものの、序盤の大量得点が効いて慌てることなく試合運びをすることが出来た。今年のチームは何を武器にして、どういう試合運びで、最終的に何対何で勝利することを目指し、その為に誰がどんな役割を担うのかということが、ある程度明確になっている。この試合に至っても皆が勝利の為に自分の役割を果たそうとしてくれていた。残念ながらこの試合のベンチに入ることが叶わなかった選手達からも大きな声援が聞こえて、フィールド内の選手達は勇気づけられたことだろう。それもまたチーム力である。

 

 「基準を設ける」というのは、ここ2年くらい意識していることだ。私はこのチームのコーチになって数年経った頃から、選手に自律を促すことが重要だと考えていた。監督が恐怖政治を行いただ選手がその指示に従うだけでは、1球ごとにめまぐるしく状況が変化していく野球において勝利することは難しい。現状をどう打破し局面を打開していくかということ、その為の最適解を自ら導き出せる能力が選手達に必要で、それは普段からそういった能力を養える環境を指導者側から提供しなければならないと思っていた。

 

 私が約8年前にこのチームの監督になった時、指導者側からの圧力によって選手を従わせることを無くすように努めてきた。怒ってやらせる、怒鳴って改めさせるということを極力避け、普通の会話から選手自身に考えさせるように促してきた。当時はコーチ陣の野球感とのズレや、チームの変化に対する親御さんの理解を得るのに苦労をして時間がかかってしまったが、今はそんな私の考えがチームに浸透している。しかしながら、「指示されないと動けない」という選手の状態は、「選手の自律を促す」という私の考えがチームに浸透してもなかなか変わらなかった。オープン戦では「ノーサインゲーム」を実施したり、練習メニューを選手達で考えさせたりと、色々と試してきたものの、根本的な解決にはなっていないということに疑問を抱かずにはいられなかった。

 

 まず最初に自分の落ち度に気付かせてくれたのは田中コーチだった。2023年12月16日。新座市総合運動公園野球場へ、新座東シニアさんにお招き頂いてオープン戦を戦っていた時のこと。26期生を中心としたチームは2月から始まる春季東東京支部大会へ向けて、「チーム強化」を図り「ノーサインゲーム」を実施していた。私は選手達が自主的に勝利の為にどうしたら良いかを考えてプレーすることに意義を感じていたのだが、田中コーチから「今年はどんなチームを目指しているのですか?」とひと言いわれて「ハッ」とさせられた。当時田中コーチは仕事が忙しくて定期的に東京和泉シニアの活動に参加出来ないでいた。たまに来た人間が観たからこそ、「どの方向へチームが向かっているのか?」ということがボヤけていたことに気付けたのだろう。

 

 私はそれから、その年のチームに関しては「〇対〇で勝つことを目標にしよう」と、一つ基準を設けた。大会前にはミーティングを行い、スタメンも事前に伝えてそれぞれの果たして欲しい役割、その打順に置く意味などを明確にした。結果春季東東京支部大会を勝ち抜き、チーム史上初3位となって関東大会のシード権をも獲得した。人が動く為に「基準を設ける」ことの大切さを教えられた瞬間だった。

 

 そして決定的だったのは約半年くらい前に、元サッカー日本代表監督の岡田武史氏が配信する『自分で判断し行動できる人材はどう育てていくのか?ビジネスにも通ずる岡田メソッドを学ぶ』と題されたYouTubeを視聴した時だ。動画の中で岡田さんは「ある時スペイン人の指導者に日本にはサッカーの型は無いのかと言われた。スペインでは16歳までにスペインサッカーの型を徹底的に叩き込む。その後に自由を与える。型にハメちゃいけないと思って日本の選手達に自由を与え、大人になってから戦術を落とし込んできたのに、やっていることがまるで逆じゃないかと思った」と語っていた。そこで岡田さんは「岡田メソッド」というサッカーの原則集を作成し、その原則に基づいて指導することにシフトチェンジしたそうだ。これを聞いて確信に変わった。私に足りなかったのはやはりこれだと。

 

 28期生を中心としたこの新チームがスタートして間もなく、改めてミーティングを行った。昨年と同じ内容だが、野球の競技性から、「野球における攻撃とは?」「守備とは?」、我がチームの考え方を共有したことに始まり、どう攻め、どう守り、どう戦うのかという「基準」を選手達に伝えた。そしてその後も選手達に問いかけている。特にオープン戦の時、今のプレーは「基準」から逆算して正しい攻め方だったのか?守り方だったのか?どんな心理だったのか?慌てる場面じゃないとか、無理をしてでも先の塁へ勝負するべきだったとか、「基準」に基づいて話をしてきた。

 

 この度の秋季東東京支部大会1回戦でも、その効果は覿面だ。選手達が何をしなくてはいけないのか?ということが分かってプレーしている。でも現段階ではまだ「基準」に沿った動きが出来るようになってきただけ。来夏までに目指すのは「基準」に基づいた上での応用だ。その応用こそ「自主性」の部分。「この場面、基準はこうだけど、でもこうした方がより良い結果が得られそうだな」と選手自らが判断し、チームを勝利へ導けるようになること。それが今年のチームの終着駅だと思っているし、我がチームが目指す野球はそういう野球だ。
ページ最上部へ戻る