2025年8月31日(日)
秋季東東京支部大会2回戦 対大田中央シニア 13対6 〇 @練馬区営Ⅲ面G
2021年以来4年ぶりに秋季東東京支部大会2回戦を突破。秋季関東大会出場へ大手をかけた。しかし予想通り、やはり難しいゲームになった。初回に2点を先制し幸先の良いスタートを切ったかに見えたが、なお無死2塁というチャンスから追加点を奪えず相手チームに流れを引き渡してしまった。2回には逆転を許し3点差に広げられてしまった時には、過去の苦い経験が頭の中をよぎった。
1年生大会を除けば大田中央シニアさんとは初対戦となったこともあり、情報が無さ過ぎて事前に大田中央シニアさんのホームページを見たり、ここ最近の大会での戦績などをチェックしてチームのイメージを膨らませ対策を練っていた。試合前のシートノックの様子を見ても「今秋に限っては我がチームに分がある」と思ったが、力のあるチームが必ず勝つと限らないのが野球というスポーツだ。各都道府県で行われた今夏の甲子園予選で、度々番狂わせが起こり優勝候補と謳われた高校が次々に姿を消したことは記憶に新しい。弱者が強者に勝てることが野球の面白さでもあり怖さでもあるのだ。
でも選手達は3点差を跳ね返し逆転で勝ち切った。終わってみれば7点差をつけてのコールド勝ち。地力があることを証明して見せた。またベンチワークという点でも過去の経験が活きている。劣勢に立たされた時、どのように対処すれば良かったか、選手達にはどんな声掛けをすれば良かったかという反省を繰り返してきた。特に「我がチームに分がある」と思った相手にリードを許す展開になった時、私自身が焦ってしまって采配が空回りし、運からも見放されて落としてしまったゲームは一度や二度じゃない。この度も負ける怖さを感じずにはいられなかったが、ベンチから戦況を見つめながらフィールド内の選手達に向けてかける言葉一つ、攻守交替でベンチに帰ってきた選手達にかける言葉一つ、過去に失敗し反省した記憶の引き出しから引っ張り出して、冷静に選んでいる自分がいた。「そのお陰で勝てた」などと偉そうなことを言える筈もないが、過去の失敗を教訓にして東京和泉シニアをより良いチームにすることこそ、負けていったOB達に報いる唯一の方法だから、現役選手に少しでも還元出来ているとすれば、それに越したことはない。
私は練習において「量に勝る質は無い」と思っている。ただその「量」とはただ闇雲に理不尽な数をこなすことを指すのではない。1度に数を多くこなそうとすると怪我のリスクも上がる。怪我をしてしまっては練習も出来なくなってしまうし、筋肉が疲労した状態で練習をしてもパフォーマンスを上げることが出来ない。量をこなしたいのにそれが出来ない身体になってしまっては元も子もない。「身体とそして精神的にも無理のない範囲で毎日少しずつ少しずつ積み重ねていくこと」が最善であると考えている。赤ちゃんの時は誰も箸を使えないが、毎日毎日使うことでいつの間にか難なく扱えるようになるのと同じ。今年5年連続となったKOUBECHIBEN対女子高校野球選抜との試合でも女子高生達を圧倒したイチローさんは、小さなことを積み重ねて世界一のバッターになった。今年で52歳になるレジェンドに毎日練習している高校生が敵わないのは、これまで積み上げてきたものに加えて、2019年に現役を引退して6年が経った今もなお、積み上げ続けているからに他ならない。
さらにその1日の練習をより充実させることが出来ればより効果的だ。青森県弘前聖愛高校野球部の原田監督は、ご自身の著書で「練習量が累積することでプレーの質が上がる量質転化」に対し、「(数を)カウント出来る見た目の練習量ではなく、仮説と検証の数こそが、量質転化に問われる量」と述べている。つまり何万回バットスイングをしたとかそういうことではなくて、今のスイング軌道はどうだったか?こう変えてみたらバッティングでは何が変わるのか?と考えながら練習する数ということである。私もその通りだと思う。
今夏、例年通り酷暑となっている。熱中症対策として夏休み中は午前のみの時短練習を実施してきた。身体への負担を考慮しての活動スケジュールである。限られた時間の中で、今年は走塁練習を少しずつ少しずつ積み重ねてきた。時間にして1日40分~50分程度。それでも毎週繰り返してきた。そしてその都度、「今のプレーはこうだったああだった、こういう風に考えるべきだった」と話し、選手達が「仮説と検証」を行えるようになるキッカケを与え続けてきたつもりだ。まだまだ全然「モノになっている」とは言い難いが、ようやく野球の競技性だったり、「攻める」「守る」の意味だったりを選手達が理解して来てくれたのではないか?と思えるようになった。その積み重ねの部分が1回戦、2回戦突破に繋がったと感じている。
さあ、次戦は秋季関東大会代表決定戦になる。相手は世田谷西TCシニアさん。世田谷西シニアさんは今年の春・夏のシニア日本選手権を連覇し、中学日本一を決めるジャイアンツカップも制覇し見事三冠を達成した、まさに中学野球日本一のチームである。TCさんはそのセカンドチームとはいえ、我がチームにとっては大いなる挑戦となる。この一戦に勝利し敗者復活戦にまわらず3戦ストレート勝ちでの秋季関東大会出場権獲得となれば、チームとしておよそ7年ぶり。そんな舞台で王者に挑戦出来るなんて、こんなに楽しいことはない。「楽しくやって強くなる」、我がチームのチーム理念通り、選手達には思う存分その真剣勝負の場を楽しんでもらいたい。