2026年4月12日(日)
オープン戦 対千葉沼南ヤング @JR東日本G 6対7 ●
JR東日本さんとは、現在の慶應義塾大学の監督であられる堀井さんが監督されていた時からのお付き合いだ。弊チームの会長が慶應義塾大学野球部OBであることからご縁を頂いている。それから毎年年末にJR東日本さんのグラウンドをお借りし、「OB戦」と題して現役中学生と東京和泉シニア卒団生との交流の場を設けている。この度はそんなJR東日本さんが岡山大会に行かれるということで、午後からグラウンドをお借りするに至った。冬と比べると外野の芝が青くなっていて、よりグラウンドが美しく見えた。
グラウンドイン前にJR東日本野球部のマネージャーである渡辺和哉さんにご挨拶した。専修大学野球部の後輩にあたるからだ。渡辺さんは、2015年の春季リーグ戦で専修大学が25年ぶりの東都一部優勝を決め、全日本選手権に出場した時の中心選手だ。卒業後にJR東日本へ進んだことを知っていながら、毎年グラウンドをお借りしているにも関わらずなかなかご挨拶する機会に恵まれなかった。この度、名刺交換をさせて頂いたことをキッカケに、今後交流を深めていければと思う。夜にはグラウンドをお借りした御礼のショートメールをしたところ、「今度JRの選手と一緒に合同練習しましょう」という返信まで頂いた。そんな中学生にとって夢のような時が実現したのならば、私の専修大学野球部卒業も捨てたものではないと思える。商学部を卒業した学士の称号は何ひとつとして役に立ったことはないが、野球部卒業の繋がりは間違いなく私の人生を豊かにしてくれている。
この日はもともと千葉沼南ヤングさんのグラウンドで上級生がお邪魔する予定だったのだが、下級生の活動場所も確保したくいつものごとく奔走していた。先月末にJR東日本さんから「PMのみ貸し出しOK」のご連絡を頂き、3年生のみJRへ、そして下級生は千葉沼南ヤングさんのグラウンドにてオープン戦、2会場に分かれての活動となった。入団したばかりの新1年生同士のオープン戦も快く引き受けて下さり、千葉沼南ヤングの林監督さんはいつも温かい。
私はJR東日本さんのグラウンドでオープン戦をさせて頂けることを心待ちにしていた。選手達に何かキッカケを与えたかったからだ。日本のアマチュア野球のトップ選手達が集う素晴らしいグラウンドでプレーすることで、普段とは違う何かを感じて欲しいと願っていた。「俺もいつかこんな素晴らしいグラウンドで毎日野球が出来るようになりたい」とか、「今日はこんなに良いグラウンドだからいつもより頑張ろう」とか、普段の生活導線にはない環境が子供達の心を動かしてくれないだろうか?と期待していた。選手達の心の中を開けて見ることは出来ないので、どれほどの影響力があったかは分からない。もしかしたら私の期待は虚しく、ほぼ普段と変わらない時を過ごしてしまった選手ばかりなのかも知れない。でもだからと言って何もしなければ何も変わらない。私は数を打ち続けることしか方法を知らない。
2対7と5点ビハインドで迎えた最終回。「先頭打者が出塁すれば何かが起きる」と思っていた。それは田中コーチも感じてくれていたのか、ベンチ内で同じようなことを選手達に声掛けしてくれていた。四球とヒットで打線が繋がり、1点差まで迫った。しかし結局追いつけずまたしても敗戦。どうしても競ったゲームを勝ち切れない。昨夏に新チームをスタートした時からずっとそう。永遠に一皮剥けることが出来ない。
その原因はやはり選手全員が本気で勝とうとしていないこと。絶対に打ってやる、絶対に抑えてやる、絶対に生還してみせる、そういうワンプレーワンプレーに対する各選手の意志が弱い。「一生懸命やっていない」とは言わないのだけれど、飛び込んででも捕るとか、どうしてもホームに生還したいから一歩でもリードを大きくとってより良いスタートを切ろうとか、とにかく目一杯振って詰まってでも外野の前に落としてやるとか、その勝負にかける執念というか、貪欲さというか、気迫というか、「戦う上で最も大切なモノ」が足りない。
私は夏の大会前に必ず選手達にとある動画を送っている。「伝説の捕球」と言われる、11年前の交流戦対阪神戦(甲子園)でソフトバンクの今宮選手が見せたスーパープレイの動画だ。ショート後方に飛んだハーフライナーに背走しながらジャンプして、一旦グローブに当て捕球しかけるが、ボールがグローブを弾いてしまう。しかしそれを空中でもう一度手を伸ばし再度グローブにボールをおさめアウトにしている。誰も真似できるモノではない、物凄い身体能力が生み出したスーパープレーだ。しかしこのプレーの根底にあるものは、ショート今宮選手の守備技術や身体能力ではない。「絶対にボールを捕る」「絶対にアウトにする」「チームの勝利の為に自分の身を捧げる覚悟」といったような、勝利に対する執念だ。今宮選手はこのプレーで顔面を強打し、口の中を切り、おそらく次の日はムチウチ状態になってその他にも何らかの故障を抱えたことだろう。普通の人間なら最初にグローブを弾かれた時点で諦め、空中でグローブを出すことではなく、自分の身を守る為に手を地面の方に構えてしまう。しかし今宮選手は自分の身体ではなくボールを捕る方を優先している。「チームの勝利の為には、そして1つのアウトをとる為にはどんな犠牲も厭わない」という精神が根底にあるからこそ出来るプレーなのだと、我がチームの選手達に話している。
今宮選手と言えば、西武ライオンズの源田選手と並び評されてきた日本を代表するショートストップだ。その類い稀な身体能力を活かしたプレーで野球ファンを魅了し続けてきたが、一見華麗に、そして格好良く見えるそのプレーも、実は誰よりも泥臭く、勝利に飢え、執念を燃やして戦っているからこそ生み出されているプレーなのだと私は思っている。その精神が根底にあるからこそ、人材豊富なソフトバンクホークスで、不動のショートストップとして長くレギュラーに君臨し続けることが出来ていたのだと。超一流の選手には必ずその精神が備わっている。
今年の3年生に足りないのは間違いなくそういう気持ち。だから勝ち切れない。もっと心の底から勝ちたいと思って、エネルギーを出し尽くして戦う感覚を味合わせてあげたい。終わった後に清々しい気持ちになるくらいの真剣勝負の場を生み出すのは、そこにかける情熱(常熱)だ。