2026年5月24日(日)
オープン戦(3年生)対大宮七里ボーイズ @大宮七里ボーイズG 5対5 △
今週も勝ち切れなかった。何か呪いのように28期生には勝利がもたらされない。2対2で迎えた6回表、3連打とそしてセーフティスクイズなども絡めながら3点を奪って勝ち越した。序盤はリードを許す展開ながら5回に同点に追い付いてゲーム後半に代わった投手を攻略しての逆転劇。ゲームの流れからすれば勝ちゲームだ。にも関わらず6回裏にすぐに同点に追いつかれて勝利が逃げていった。
大宮七里ボーイズの長岡監督さんは近鉄バファローズ出身の元プロ野球選手だ。試合後にお話しさせて頂く時間を頂いたのだが、長岡さんからも「東京和泉の選手はバット振れますね~。ポテンシャルの高い子が多い」とお褒めの言葉を頂いた。私達東京和泉シニアスタッフの目も決して節穴ではないということだ。プロ野球の世界を知った人が言うのだから間違いない。しかしそれでも勝てない。
私は「負けラン」が嫌いだ。いつだったか…。メジャーリーグ傘下のアカデミーのコーチの言葉を聞いて、自分の考えを改めさせられた。
「日本人は何故負けると走るのか?試合に負けたらその原因をつきとめ、その改善をする練習をするべきではないのか?」
この言葉を聞いた時、私はハッとさせられた。私はプレイヤー時代に負けると走らされた。それが当たり前だったから、自分が教える側にまわっても同じことをしていた。さも当然のごとく。でもその言葉を聞いて雷に打たれたような感覚だった。全くその通り。「走るよりもやることがあるだろう」と思った。それから私は「負けラン」を封印した。罰走では勝てるようにならないと思ったからだ。
試合後に私自身の采配も含めて反省をし、「その改善に向けて次週も練習する」を繰り返してきた。しかしその繰り返しをしても結局チームは勝てるようになっていない。むしろ後退している感さえある。私は何かを変えたくて、この度「負けラン」を復活させることにした。もう意味があるとか無いとかではない。とにかく負けることを選手達に嫌って欲しいと思った。オープン戦だろうと何だろうと、勝ち負けに執着して欲しいと思った。また負けたら走らされるというプレッシャーが、日常を多少は壊してくれるのではないか?と思った。負けても何のペナルティーも無く、ただ試合を楽しんでサヨウナラという毎日を繰り返していては、本番のプレッシャーになど打ち勝てるハズも無い。敢えてストレスをつくることにより、そのストレスがかかった状態でプレーするという経験を重ねることも狙いだ。とにかく負けて平気な顔していられる集団をつくりたくない。
「プレッシャーに打ち勝てるようになるには小さな成功体験を積み重ねること」これは一つの真実だと思う。だからここ5年はその方向性でコーチ陣とも共有して活動してきたつもりだ。でも野球はどうしても失敗の多いスポーツだ。打者であれば3割を打てば好打者と言われ、10回打席に立ち7回は失敗する計算になる。自信が持てるようになるまでの成功体験数を待っていたらあっという間に卒団を迎えてしまう。「東京和泉シニアでの経験が活きて高校で活躍出来ました」と言われれば、それはそれで嬉しいし、成功体験の数としてカウントすることが出来る。しかし、私はあくまで今この瞬間に勝ちたいのである。
中学野球は通過点だ。それは真実だ。だけど「勝った者は勝った者と組むのでより勝つ。負けた者は負けた者と組むのでより負ける」これもまた世の常だ。例えば全国大会で活躍した選手は横浜高校や大阪桐蔭といった全国でも有名な強豪校にスカウトされ、甲子園で活躍し、その後も東京六大学野球や都市対抗、あるいはプロ野球選手になるという王道を行く。対して上部大会に出場できなかったチームの選手は、それ相応のレベルの高校にしか進学出来ず、高校でも勝つことは難しくなる。競争に負けた者はその後の大学野球や社会人野球といった次のステージへの道さえも閉ざされる。ビジネスの世界でも成功者は成功者とのお付き合いが出来るので、より成果を上げ、より稼ぎ、より儲けることが出来る。
じゃあ中学野球で結果を出せなかった者は永遠にチャンスは訪れないのか?と言ったらそんなことはない。もちろん高校や大学、あるいは社会人といった中学野球以降のカテゴリーでその才能が開花し、スター選手になった例も沢山ある。だからそれが全てではないのだけれど、傾向としてそうなるということだ。我がチームの選手達に勝者としての道を進んでもらう為にも、勝利することに拘って欲しいのだ。「今負けていても、いつかそのうち勝てるようになる」なんて思っていたら大間違い。負けが込めば込むほど、勝利からは遠ざかっていく。
正しいか間違っているかと言ったら、「負けラン」は正しくないのかも知れない。走ったからと言って野球が上手くなるわけでもない。でも何か変えないと現状を打破出来ないと思ったのだ。「勝ち切れない呪い」を払拭する為に、理屈じゃない何かに縋りたくなった。「細かいこと言ってないで、とりあえず汗かこうぜ」みたいな(笑)。しかし中学生とは不思議なもので、それをどこか楽しんでいる。大宮七里ボーイズの選手まで「一緒に走ります」と言って参加してくれて、最後にはリレー対決まで行う始末(笑)。走り終えるとどこか清々しい表情になっていて、あっという間に友達になっている。こういった縁がたまたま大人になって繋がったりするものなんだよな。学校で勉強しているだけでは絶対に得られない生涯の宝物。正しくない、意味のないハズの負けランが、選手達の世界を広げているようだった。