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東京和泉リトルシニア00000000
板橋シニア101003×5
板橋シニアの皆様、ありがとうございました。鍛え直します。

 板橋シニアさんの先発投手がブルペンで試合前の投球練習している姿を見て、とても嫌な予感がした。左のスリークォーターで踏み出した右足と同時に右肩が開くのだが、左手は遅れてきて球持ちがいい。踏み出し足が着地してからリリースするまでの時間が長く、タイミングをとるのに難しい投手であるということがすぐに分かったからである。案の定、わずか2安打に抑えられ7回完封されてしまった。日本のアマチュア野球は大学を除けばトーナメントの一発勝負になるので、「初めて見る投手にいかにタイミングを合わせて打ち崩すか」ということは勝利する為のポイントの1つである。しかし今の東京和泉シニアの打線ではそれが非常に難しい投手であった。ただ、打てないからといって勝てない訳ではない。守りのミスから先に点を与えてしまったこと、相手が四死球やエラーでチャンスを与えてくれたのにそこにつけこめなかったことなど、反省点は多くあった。

 初回、1死走者無しから2番に3塁打を打たれ、1死3塁で3番を相手に不用意に高めに変化球を投げて犠牲フライであっさり先制された。まだ初回であったし内野を定位置に下げていたので1点は覚悟していたが、簡単に外野に運ばれて失点してしまうようではエースとは呼べない。ちょっと注意力の足りない1球であった。「いつでも点はとれる」と思ってはいけない。失点はしないに越したことはない。慎重になり過ぎてもいけないが、丁寧に投げなければいけない場面であった。

 3回、2死2塁から3盗をしかけてきた。3塁への捕手の送球が悪送球となりエラーで2点目を献上してしまった。これが意図的だったかどうかは分からないが、チームによっては打者が打てないと判断した時、アウトになるのを覚悟で捕手の悪送球を誘う為にワザと3盗をしかけてくるチームがある。もちろん刺しにいかなければならないが、送球ミスは絶対に許されない。

 5回表の攻撃。ここで勝負が決まってしまった。相手の四死球とエラーで無死1・2塁のチャンスを迎えた。5番に送りバントを命じたが2球失敗して追い込まれてしまったのでヒッティングに変えた。結果はショートゴロとなり最悪のダブルプレーかと思われたが、ショートがファンブルしてくれて「よし!無死満塁だ!」と思った瞬間、1塁走者がセカンドベースにスライディングすることを怠り間一髪でセカンドベースでフォースアウトとなってしまった。結局後続が倒れこの回に1点も奪えなかったことが全てだった。野球はやるべきことを怠ると良い流れはやってこない。むしろどんどん逃げていく。「全力疾走をする」「セーフになる為に全力でスライディングをする」、こんなことは誰でも出来る当たり前のことである。これを怠るのはあり得ない。ひどい怠慢だ。足の速い遅いはもちろん関係ない。あの大谷翔平だって全力疾走を怠らない。野球選手として絶対に怠ってはいけないことだ。

 悪い流れはそのまま6回裏の守りに繋がった。3点を奪われてダメを押され勝負あった。この時もストレートを続け過ぎてしまう配球には疑問が残った。それまでアウトコースのカーブ・スライダーはほとんど打たれていなかったので、何故あの時だけたて続けにストレートを投げてしまったのか…。もう3点目は絶対にやれない状況であったのだから、間をとることだったりボールを多く使うことであったり、出来ること全てを駆使して抑えにいかなければいけない。最後まで考え抜くスタミナ切れのように感じた。

 わずか2安打では確かに勝つのは難しい。しかしその中でも勝つチャンスが無かった訳ではない。一番悔しいのは全力を怠ったプレーによりその勝つチャンスを自ら手放してしまったことだ。相手も勝つ為に日々努力しているのだ。全力を怠って勝たせてくれるほど勝負は甘くない。夏の大会は特にそういう部分が求められる。「セーフになれるかも知れない、アウトをとれるかもしれない、何とか捕れるかも知れない」、そう思って全力で走り続けること。その積み重ねによって、絶対に勝てないだろう相手に勝てるチャンスを見出せるようになる。

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