1 | 2 | 3 | 4 | 5 | TOTAL | |
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東京和泉リトルシニア | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
上尾シニア | 2 | 8 | 0 | 0 | × | 10 |
3年生の夏が終わった。昨年の7月から私が東京和泉シニアの監督を引き受けることとなり、3年生にしてみれば監督が交代するにあたって不安になっただろうし不満もあっただろう。そんな中、今日まで誰一人辞めずについてきてくれた。そんな3年生に報いる為にも「一つでも多く夏の大会で勝たせてあげること」を自分の中で目標にしてやってきた。今私に出来ることは全てやった。しかし一回戦で負けてしまった。それは全て私の責任である。負けた事に対して言い訳など出来る筈もないし、責任逃れをする気も毛頭無いのだが、しかし3年生にとっては今後の人生の方が圧倒的に大事なのは紛れも無い事実の筈である。東京中日スポーツ杯という最後の大会が残っているとはいえ、それ以上に「進学」という大きな課題がすぐそこに待ち受けている。「東京和泉で野球をやって良かった」と思って卒団してもらえるように、あるいは大人になった時「東京和泉でのあの時の経験が今生きている」と思えるような人間力を少しでも養えるように、「残りの短い期間で3年生に何かを残せてあげれたら」と思うからこそ、これからの時間を大事に過ごして欲しいと思う。
試合はというとやはり「守りのミス」が何よりの敗因であった。「相手はおそらく打撃のチーム。だから序盤しっかり守って相手の得点力を封じ、ゲームをつくればチャンスはある」とミーティングして、シュミレーションをして、しっかり準備して臨んだつもりだったが、2回で10点を奪われてしまった。確かに相手打線は強力であった。春の全国三位はだてじゃない。しかし10点のうち半分は守りのミスで与えてしまった点だ。5対1ならコールドにはなっていない。試合が続けば逆転の可能性だって巡ってくる。初回も無死満塁のピンチをよく2失点で切り抜けられたとも見えるが、先頭死球、バント処理ミス、センターエラー、ファーストエラーと4つのミスが重なっている。8失点した2回も連打連打で得点されたようだが実は外野のまずい守備が目立ってしまっていた。捕れるはずのフライが長打になってしまう。結局最後まで守備力を安定させることが出来なかった。
日本のアマチュア野球は大学野球を除けばほとんどがトーナメントの一発勝負。一つも負けられない。だから「バッテリーを中心とした守りがベースになる」という考え方は、前監督と何ら変えずに練習に取り組んできたつもりだ。キャッチボールから始まり牽制・狭殺、投内連携、シートノック、ゲームノックといったところにはかなりの時間を割いてきた。また打撃練習が出来るように環境を整え、その時もしっかりと守備位置につかせて生きた打球を処理するよう感覚を養わせた。水曜日もボールを使った練習を行うことにし、ゴロを捕る感覚、フライを捕る感覚を養う時間を増やしてきた。しかし結局は守り切れなかった。つまりまだまだ足りないということなのか?練習中のワンプレーに対する気持ちの弱さなのか?軽さなのか?何が原因かは分からないし答えは簡単に出ないとは思うが、この敗戦を無駄にしない為にも考えていかなければならない。
我々指導者が負けてしまった3年生に唯一報いる方法は、その敗戦を糧にし下級生のチームを強くしてより良いチームにしていくこと以外無い。それしか無い。私はこの3年生と過ごした10ヶ月間は一生涯忘れない。私の29年という野球人生の中においてもとても濃密な10ヶ月間であった。そう思えるくらい本気で、真剣に向き合ってきたつもりだ。「真剣だと知恵が出る。いい加減だと愚痴が出る」… 毎朝選手達が唱和するこの言葉を信じた。本当に大変だったがやはり不思議と愚痴は出なかった。
「人の悪口を言うな。文句や愚痴を言っても前に進まない。他にやることがあるはずだ」
我がチームの会長と副会長の教えを全う出来た。ただ子供達の為、勝利の為だけを考えた。敗戦の反省はしなくてはいけないが、やってきたことに後悔はしていない。
1・2年生はこの試合に何を感じたであろうか?「全国は遠い」と思ったのか?「あのレベルまでいけば全国に行けるのか」とポジティブに捉えたのだろうか?もう2年生のチームになる。新チームのスタートである。まず最初の目標は8月の終わりから始まる秋季大会だ。それまでもうあと3ヶ月しかない。あっという間である。この初戦で誰が一桁の背番号を背負い、スターティングメンバーとして試合に出場するのか?それはこれからの練習やオープン戦で結果を出した者のみがその座を掴み取る。野球は実力至上主義だ。そこには1年生も2年生もない。厳しい競争を勝ち抜くために日々努力してくれることを願う。