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東京和泉リトルシニア00000000
蕨シニア00000000
蕨シニアの皆様、朝からグラウンド整備をして頂いたお陰で3試合やることが出来ました。ありがとうございました。今後とも宜しくお願い致します。

 秋の大会前最後のオープン戦。良いゲームをやって秋の大会に繋げたいと思って臨んだが、新座市長杯から続く夏の炎天下の中の練習と連戦によってか、やはり少し身体が重そうに見えた。その為今ひとつテンションも上がらず、活発だった打撃陣も湿りがちであった。

 そんな中、先発した2年生投手とそして後ろの2回を任せた1年生投手は安定した投球を見せた。四死球が少なかったことが何よりも評価出来るところであるし、守備陣もまたほとんど失策無く7回を守り抜いた。ずっと選手達に話しているようにトーナメントを勝ち抜くにはまず守ることが基本である。失点を少なくして「負けないチーム」になることが必要であるからだ。そういった意味では蕨シニアさんの守りも安定していた。投手も左投手で四死球が少なく、そして打ち取った打球を確実に処理していた。打撃力にはあまり怖さを感じないチームではあったが、あれだけ守られるとこの新チームという段階においては公式戦を勝ち抜いていける力があるのではないかと思わされた。

 この試合においては確かにバットが振れていないという印象であったが、「打撃は水物」と言われるように好不調の波が激しいものだ。また良い投手が相手となればなかなか打つことは難しいし、良い打者でも3割しか成功を望めないのがバッティングというものであるのだから、この試合のようになかなか打てない日があってしかりだ。でも今年のチームは打撃も決して悪くないチームだ。足を使える選手も多いし、この夏の強化練習期間である程度バントもカタチになってきた。身体の疲労が回復しさえすれば来週はまたバットが振れて爆発出来るだろう。打撃に関してもあまり心配していない。

 ただこの試合で唯一反省しなければならないのは牽制死の多さだ。蕨シニアさんの投手陣は左投手のみであったので、盗塁のサインが出ていて勝負をかけて逆をつかれるとか、飛び出してしまうといったようなことがあるのは仕方ないとも言えるが、「打て」とか「バント」のサインの時に第2リードを右投手の時と同じようにとろうとして牽制死ではほぼ無駄死にである。左投手ということを考えれば「打て」や「バント」の時の第2リードは遅らせて良いし、さらには「エンドラン」の時のスタートでさえも弱冠遅らせて良いのだ。これもベンチから1塁走者に注意することが出来る。「左ピッチャーだから第2リード遅らせていいぞっ!」って声をかけてあげれば1塁走者は無駄死にしなくて済むのである。野球には「流れ」という無形の力が確かに存在する。例えそのイニングに得点出来なかったとしても、盗塁やエンドラン、そして送りバントなどでしっかりとスコアリングポジションに走者を進めて攻撃を終えるのと、牽制死等でチャンスを逸して無得点に終わるのとでは、同じ無得点でも全く違う「流れ」で守りのイニングを迎えることになる。この試合に限っては我がチームの投手陣が圧倒的に相手打線よりも力が上回っていたから失点せずに済んだが、打線に力のあるチームが相手では必ず失点してしまうような、要するに相手に攻撃の勢いを与えてしまうような攻撃の終わり方をしてしまっていたのである。一発勝負の公式戦ではこういったミスが命取りになる。走者だけではなくベンチも含めて大いに反省し、来週から始まる秋の大会に繋げてほしい。

 

 さて、新チームが始まってから約3ヶ月。いよいよ来週から秋の大会が始まる。この3ヶ月でオープン戦31試合、紅白戦2試合、公式戦4試合の計37試合もの実戦経験を積んできた。残念ながら雨や相手チームの都合により中止や延期になってしまったゲームもあったが、新チームの段階でこれだけのゲームをこなせたのは私の14年のシニア指導生活において初めてかも知れない。いや、もしかしたら20年の東京和泉シニアの歴史の中でも過去に前例が無いことなのかも知れない。そしてその数々のオープン戦の中で出た課題を克服しようと練習も重ねてきた。それらの甲斐あってかこの3か月でチームは超速のスピードで成長した。全ては来週日曜日から始まる秋の大会で勝ち上がるためだ。みんなでミーティングをして、各自目標管理シートにチームの目標と個人の目標を書き出し目標を明確にした。「春の全国大会出場」。新座市長杯を機に選手達のその意識がハッキリしてきたように思う。8月16~18日の強化練習期間。私は仕事で17日、18日は練習を見ることが出来なかったのだが、「秋の大会に向けて今自分達には何が足りないのか?では今何を、どんな練習をすれば良いのか?」それが選手達の中でもかなり明確になってコーチ達とともに練習出来ていたのではないだろうか。その練習の中で主力の痛い怪我が出てしまったことも確かなのだが、私の理想とする練習風景に少しずつ近づいている手応えを感じてもいる。「選手達の中で目標が明確になってそれを達成する為に練習をする」。ごくごく当たり前のことのようだが実はこれがなかなか難しかったのが今までの日本の野球界なのである。暴君のように振舞う監督・コーチがいて、選手達がその指導者達に「ただ怒られないように練習をしていた」のが今までの日本の学生野球の歴史なのだ。それは我が東京和泉シニアにおいても例外ではなかった。過去にロッテマリーンズやニューヨークメッツで監督をしていたバレンタイン監督が日本の少年野球の練習風景を見た時、「日本ではマフィアが子供に野球を教えているのか?」と言ったほどだ。そうではなくて、目標を自分達で立ててそれを達成する為に練習しなくてはまず面白くないし人間力も養われない。要するに「トップダウン」ではなく「ボトムアップ」で練習をして、それで良い結果が出ればその練習は正しかったのだろうし、もし結果が出なければやってきたことが間違っていたのかあるいは何か不足していたのか、結果に対しての判断が指導者だけではなくて選手達の中でもつきやすいハズだ。ただ監督・コーチに怒鳴られることに怯えてやっているだけでは、結果が出ても出なくてもそれまでの自分達の毎日が正しかったのかそうでなかったのかの判断さえも出来ないということだ。目標を立てて、それを達成する為に努力をし、そして結果を見てまたそれまでの日々を振り返る。こういうことが出来るようになれば例えプロ野球選手になれなくても社会に大きく貢献できる大人になれるのではないか。今の東京和泉シニアの選手達にはそういうことを野球を通じて経験させてあげたいし、それによって「考える能力」が少しでも養われれば尚良いと考えている。

 蕨シニアのオープン戦終了後、胸の引き裂かれるような思いになる時間があった。秋の大会の背番号を渡す瞬間である。この3ヶ月、本当にみんな頑張っていた。特に2年生が目標を達成しようと、そして1年生に負けまいと必死になって頑張っていた。「野球は実力の世界」「レギュラーや背番号は与えられるモノではなくて奪うモノ」と言ってきた以上、より良い結果を残した1年生には1桁の番号を与えなければならなかったし、例え2年生であっても2桁にせざるを得ない選手がいた。申し訳ない気持ちでいっぱいだ。やはりこの時が監督は1番つらい。でも満足のいく番号をもらえなかった選手はくじけないで欲しい。悔しかったら「奪う」しかないのだ。1桁の背番号をもらった選手達は2桁になって悔しい思いをしている選手がいることを絶対に忘れてはいけない。そして今後奪われてはいけない。また、我が東京和泉シニアは今人数の少ないチームだ。2桁だからといって試合に出るチャンスが無いわけじゃない。むしろ2桁の選手の力が間違いなく必要なのだ。その結果いかんでまた次の大会の背番号も変わるのだと信じて、この秋の大会で力を発揮してほしい。監督・コーチは必ず見ている。ここは1つ歯を食いしばってほしい。みんなの思いを1つにして、いっちょひと暴れしてやろうじゃないか。東東京支部の台風の目となれ。「This autumn is for IZUMI!」

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