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東京和泉リトルシニア1000001
宇都宮シニア1000001
宇都宮シニアの皆様、ありがとうございました。

 土曜日学校だった選手もこの日には鹿島に集まり、1~2年生でオーダーを組めて、そして相手が宇都宮シニアさん。試合会場も甲子園に何度も出場している名門銚子商業高校さんのグラウンドということで、今年のオーシャン杯で最も骨のあるゲームとなった。

 宇都宮シニアさんとは10年前の夏の大会2回戦で戦った試合が印象に残っている。場所は東練馬シニアのグラウンドだった。宇都宮シニアさんはその年、春の全国大会でベスト4に輝いたチームであった。そんなチームと早くも2回戦で対戦しなければならなくなった。0-5とリードされて敗色濃厚だったゲームを、終盤に満塁ホームランを含む3本の本塁打が飛び出し、引っ繰り返して大金星をあげたのだった。あの試合は燃えた。「全国ベスト4を倒したい」と、ベンチ一丸となって熱くなった。その記憶が甦り、この試合はどうしても勝ちたくなった。

 4番のタイムリーで幸先よく先制したが、その裏にレフトとサードのエラーであっさり同点に追い付かれた。レフトのエラーは鮮やかなトンネルであった。打撃を買って起用している選手なので多くは望んでいないが、外野手として「後ろにやってはいけない」という一番基本的なところのミスなので、しっかりと反省し次に繋げてほしい。そして次のサードのエラーがこの試合では一番反省すべきポイントとなった。レフトがエラーしたことにより1死3塁というピンチの場面。捕手は内野手を前進守備させず、定位置を守らせた。それはつまり「1点あげても良いからアウトを1つ増やそう」という守りだ。初回に先制点をとったことにより1-0とリードしていたし、相手打者が3番ということを考えるとこの守備隊形の選択は間違っていない。「1点とられて1-1の同点とされる代わりにアウトを1つ増やし、2死走者無しで4番を迎える」というのが捕手の描いたストーリーだったろう。相手3番打者の放った打球は、その狙い通り、いやそれ以上の結果となってもおかしくなかった場所に飛んだ。3塁線に少し強めのサードゴロとなったのだ。3塁ランナーはスタートを切れていなかったので、1塁にしっかり送球出来てさえいれば得点を許さずにアウトを1つ増やせた。しかし打球を一時ファンブルしたこともあって、ファーストへの送球を焦って暴投となってしまった。結果得点を許し、さらにアウトを増やすことも出来ず、引き続き1死3塁のまま4番を迎えるという最悪なカタチになってしまった。たまたま後続を断ち切ることが出来て最小失点で済んだが、これが公式戦であればもっとプレッシャーがかかってくるし、さらに力のあるチームが相手だったとすれば一気に畳み掛けられて勝負を決められてしまう可能性が高い。このツーアウト目をとれるかとれないかは非常に大きなポイントであったように思う。「前進守備隊形を敷かない」という指示が出た時には、その瞬間に野手は是非落ち着いてリラックスしてほしい。そして前進守備の指示が出た時には、「打者と走者と勝負だ」と思って「攻める守備」を心掛けてほしい。

 試合は結局1-1の引き分けに終わった。チャンスはつくったがあと1本が出ず、「勝ちきれなかった」という印象のゲームであった。相手の先発投手に翻弄された。変化球を低目に集めて打たせてとるピッチング。最後までチェンジアップをつかまえられなかった。ストライク先行の攻めのピッチングでコントロールの良い投手であった。やはり誰かがそのストライクをとりにくる変化球を打たなければならない。9人のうち2人で良いから変化球を打つことが出来れば、相手バッテリーは「変化球を狙われているのではないか」と思って投げられなくなってくる。レベルの高いチームの投手は、この春以降はストレートを狙っているだけでは打ち崩せない。変化球を狙う、あるいはセーフティーバントを試みるなど、打てなければ別の方法で投手のリズムを崩していくことも考えていかなければならない。走者が出ず、打者だけに集中して自分の間で投球されている時はなかなか打てない。四死球でも何でも良いから走者を出して、打者と走者で2対1で投手を崩していくことも作戦の1つだ。

 やはり野球は頭を使わなければ勝てない。しかし逆に言えば、その頭を使いさえすれば身体能力で敵わない相手にも勝つことが出来る。そこが野球の面白いところである。しかし、勝利の為にベンチにいる選手も含めて全員がその頭を働かせているかというと我がチームはまだまだである。勝つ為にはベンチにいる人間も黙っている暇などないはずなのだが、見学者になってしまっている選手が多い。それはやはり練習の時からそういう訓練をしていないのが原因である。昨日、ある高校の練習を見させて頂いたが、ケースノックでは守っている野手も、ランナーをやっている選手も全員で良いプレーを褒め合い、悪いプレーを指摘し合い、プレーが起こる前の確認も怠らない。その声の大きさが小さければ、「そんな小さな声でしゃべっていたって聞こえねーだろっ!!伝わらなければ意味がねーんだっ!!」とコーチが叫んでいた。我がチームが今まさに目指していることを実践していた。「これが野球の練習風景だよな」って思った。そのノック1本に対する選手全員の熱が伝わってきた。高校生がこれだけのことを毎日やっているということを我がチームの中学生にも見せてあげたいなって思った。今度監督さんにお願いしてみよう笑

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