1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | TOTAL | |
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柏シニア | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 6 |
東京和泉リトルシニア | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
序盤、多くの走塁ミスによって得点のチャンスを逸した。1・3塁時のカットプレーによる3塁憤死、無死1塁で牽制死など、何も焦らずじっくり攻めていれば相手が苦しくて仕方ない場面ばかりであったのに、自らチャンスを潰してしまった。やはり走塁ミスはチャンスを逃すだけでなく、チームの良い流れを切ってしまう。そしてそれは相手に流れを渡してしまうことに他ならない。結果それが響いてこの試合を落としてしまった。いつも選手達に話しているが、良い走塁の大前提として野球を知っていなければならない。野球を知っていれば、今どうすれば得点に近づくのか、どういう走塁をすれば相手が嫌がるのか、そういったことが頭の中で整理出来て、プレーが起こる前に準備が出来るから、結果好走塁に繋がる。今サインを出さないで試合をさせているのは、そういった野球を学んで欲しくて試みていることでもある。そこを覚えていかなければ、この試合のようにボーンヘッドで相手に貴重なアウトをいくつもプレゼントしてしまうことになる。
例えば、1対3とリードされて迎えた3回裏。1番から始まる好打順。1番打者は前の打席の反省を生かし三遊間にゴロを打って内野安打で出塁した。しかし初球にスチールを試みてタッチアウト。走ることは悪いことではない。しかしここは絶対にアウトになってはいけない場面である。私はここでの攻め方の選択肢としては「送りバント」が最善と考える。まだ3回だから1点とって2対3と出来れば相手にプレッシャーも与えられるし、残り4イニングで追い付き、追い越せる可能性がグッと高まる。しかしこのイニング無得点で終わってしまうと、次上位打線にまわってくるのは5~6回となる。そうなると苦しい。2点差のまま終盤を迎えられる保障はないし、例え2点差のまま6回を迎えられたとしても、その時は1点ではダメだ。最低2点とる攻め方を考えなければならなくなる。7回は下位打線になってしまうからだ。そういう意味でこの1番打者の1塁ランナーは大事に、そして確実に本塁へ生還させたい場面であった。「バントで送って1死2塁とし、クリーンアップで勝負する」という極単純なストーリーで良かった。出塁した走者は、1塁ベース上でエルボーやフットガードを外しランナーコーチャーに渡して、リードをとるまでのこの「間」でそういったことを頭の中で整理出来るようになってほしい。そしてそれが出来る選手が多ければ多いほど、ベンチから出る声も止まることは無い。プレーが起こる前に確認しなければならないことは山ほどあるからだ。チーム全体でその意識が働くようになれば、この試合のようなボーンヘッドはなくなる。とれる点が確実にとれるようになる。それはつまり勝利へ近づくということだ。
私の理想は、こちらががサインを出す前に選手達が「きっと監督はこの場面でこのサインを出すだろうな」と予測し、私が「その通りのサインを出す」というチームをつくることである。中学生には難しいことであるのは重重承知だ。しかし恐らく全国大会に出場するようなチームの中にはきっとそういうチームがあると思う。強いチームと対戦すると、「あっ、こいつちゃんと分かって走塁してるな」と思える選手を見つけることが出来る。だから難しいかも知れないけど、決して無理なことではない。中学生のうちからそうやって考えることをトレーニングしていれば、必ず高校に進学した後も役に立つ。そして武器になる。考えて走塁することで相手のスキをつける面白さ、裏をかける面白さを選手達に味わって欲しい。「今度試合でこんな事やってみたいんですけど、監督どうでしょうか?」と質問してくるような選手が出て来たら本物だ。そんな日を心待ちにしている。