1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | TOTAL | |
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東京和泉リトルシニア | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
昭島シニア | 0 | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 | × | 4 |
この試合で光ったのはサードで先発起用した1年生だ。彼は個性的で面白いキャラの選手だ。見た目は野球が上手そうにはとても見えないのだが、守備の時のハンドリングや打撃の時のタイミングのとり方など、実はセンスに溢れている。そのギャップがまた面白い。弱点を挙げるとすれば、まだ幼児体型と言うか、身体に力が無いが故にスピードが無いところである。しかしこの試合ではサードゴロを4つか5つ捌いてくれた。どれも平凡なサードゴロであったが、それを確実にアウトにするということが、野球においてどれだけ大切なことか。そして打撃においてもヒットにはならなかったものの、第2打席のショートライナー、そして最終打席のライトゴロはいずれもヒット性の当たりであった。上の学年の試合で堂々と役割を果たしてくれた。是非、今後に向けて自信にして欲しい。そして家で走り込んで、バットを振り込んで、「上級生からレギュラーを奪うんだ」という欲を持って取り組んで欲しい。
試合は2回の無死走者無しから平凡なセカンドゴロをエラーして出塁を許したところからの2失点と、5回の2死走者無しから四球を与えたところからの2失点で勝負は決した。先程も述べたように投手が打ち取った打球をどれだけ確実にアウトに出来るかは、イコールチーム力である。相手打線は我がチームの先発投手のボールに差し込まれていたので、あのセカンドゴロをアウトにして1死走者無しとすれば、高い確率であのイニングは無失点となったハズだ。あのエラーは彼の日々の取り組む姿勢がもたらした結果だ。「捕球した後に右足をフロントステップするように」と、練習の時に言ってきているつもりだが、なかなかそれを本気になって改善しようとしておらず、結局バックステップを踏んで悪送球となった。ベンチに戻ってきた時にもその点をコーチに指導を受けていたので、言われたことを素直に受け止め、「自分のものにしようと努力する」という姿勢で向き合えるかというのが彼の今後の課題であろう。それは野球のレベルアップにおいても、学校生活においても、全てに通ずることである。
そして5回。2死走者無しから2番打者に四球を与えてしまった。この日はセンターからホーム方向に強風が吹いていた為、中学生の捕手の肩ではなかなか盗塁を阻止することが出来ない状況であった。つまり出塁を許すということは、自動的に2塁打を打たれたのと同じ事になる。さらに2番に四球ということはクリーンアップを前に2塁打を許したのと同じになる訳だから、最悪な四球と言える。ベンチにいた私は四球を出した瞬間に『失点してしまうな』と思った。案の定、2番に盗塁を許し、3番にヒットで繋がれ、4番に試合を決める一打を打たれた。
ただ、2死からのピンチであるからあと1つアウトをとれば無失点で切り抜けられる訳である。2死2・3塁で4番打者を迎えた。1塁が空いていることを考えれば四球で歩かせて、満塁で5番打者と勝負して良い場面であった。1対2で負けていて5回裏。我がチームの攻撃はあと2イニングしか残されていない。もう追加点は絶対に許してはいけない場面である。4番打者にカウント2ボールとなった時点で「敬遠」という選択で良かった。そこでバッテリーはインコースのシュート系のボールを選択し、3塁線に打たれて2点適時2塁打。満塁策という選択が最も良かったと思うが、もしインコースのシュート系の球で勝負をするなら、「サードを3塁線に寄せておく」というポジショニングの指示を捕手にして欲しい。この日、確かにそのシュート系の球で内野ゴロを多く打たせていたのはベンチからも分かっていた。その球の威力とコントロールに自信があって勝負にいったとすれば、「打球はあの辺に飛ぶ」という予測を立て、指示できる捕手になって欲しい。1人だけ違う方向を向いていて、1人だけファールグラウンドに構えている捕手は、「外から全体を見る」ということを義務付けられているポジションだと私は思っている。「いいキャッチャーがいるチームは強い」というのは野球界では昔から言われている言葉だ。この5回の2失点からは、色々学ばなければならないことが沢山あったように思う。打たれたことを投手のせいにするのではなく、「どうやったらあのイニングを無失点で切り抜けられたのだろうか」と振り返り、次に生かして欲しい。この試合でマスクを被った捕手に限らず、ベンチにいた捕手も含めてだ。