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東京和泉リトルシニア10110014
立川シニア005000×5
立川シニアの皆様、ありがとうございました。今後とも是非よろしくお願い致します。

 2年生左腕を先発投手としてマウンドに上げた。腰痛で思うように投げられない状態が続いていたので先週は練習の時もピッチングすらさせなかった。日曜日に我がチームの臨時コーチ兼トレーナーに身体の状態を診てもらい、「筋肉の状態が良くなっているから大丈夫だ」と言ってもらえたので、この日は先発させてみることにした。2イニングほぼ完璧な内容であったが、2回を投げ終えた時点でやはり「腰が痛い」と言ってきた。3イニング目から他の投手を繋いで何とかゲームはつくったが、3回に急遽マウンドに上がった投手が準備不足もあってか5失点してしまい、それが大きく響いて結局4対5で負けてしまった。

 2年生左腕は秋の大会で背番号1をつけてチームを関東大会に導いた投手だ。まず何よりも左であるということ。そして球持ちの良さ、カーブ・スライダーのキレはなかなか良いものを持っていて、春・夏と戦っていく上で彼の力は必要不可欠である。前日の伊勢原シニア戦で良いピッチングをした1年生左腕にも、本物のエースになって欲しいと期待しているが、やはり2年生からすれば「自分達の学年のエース」というものを望んでいるだろう。「彼が先発」というだけで、試合前は「よーし、この試合やってやろう」という雰囲気がベンチに漂っていた。しかし彼がマウンドを降りることになっただけで、チームの士気が下がってしまうのを感じた。やはりエースとはそういう存在なのだ。私の父である会長にはよく言われたものだ。「エースがマウンドを降りる時は負ける時」。そういう唯一無二の存在になる為には日々の努力は絶対だ。私は未来のある中学生を預かっている身だ。無理はさせられない。でもチームは選手の為にあるのではない。選手がチームの為にいなければいけない。状況によっては無理をしてでもチームの為に貢献しなければならない時もある。急激に背が伸びているが故に起きている、一種の成長痛のような腰痛のようだ。ストレッチをして筋肉を柔らかくすること、腰痛が治って全開で腕が振れるようになった時、圧巻のピッチングが出来るように今出来るトレーニングはしっかりしておくこと、そういった来たるべき日の為の準備は怠らないで欲しい。

 3回にマウンドに上がった投手はオーシャン杯で良いピッチングをした投手だ。その他のゲームでもここ最近はあまりゲームを壊すような投球は見られなかった。そういった意味で少しずつ信頼してマウンドに送り出すことが出来るようになっていた。しかしこの1イニングは乱調であった。確かに先発投手が2イニングでマウンドを降りることになり、準備する時間が少なかったことは事実だ。しかしそれを言い訳にして欲しくない。ボーダーラインにいる選手というのは、そういった不利な条件下でも結果を出さなければならない。そこで失敗をしてしまうと、次いつチャンスをもらえるか分からない。我がチームはそこまで人数の多いチームじゃないから、私がこのままずっとチャンスを与えないかと言ったらそんなことは無い。しっかりとこの試合を反省し、次投げる時は確実にいいピッチングが出来るように、毎日練習しておいてくれればそれで良い。しかしである。彼がもし人数が多くて競争の激しい高校に進学して高校野球をやったとする。そうなった時は、この1イニングで自分がそれまで積上げてきたものが一気に崩れ去ってしまうことになる。少なくとももうあと1年と3ヶ月後にはそういう世界に足を踏み入れる可能性があるのだ。どれだけ大きな失敗をしたとしても、いつでもチャンスをもらえることに慣れて欲しくない。

 結果が出なかったことに対しては、やはり自分に非があると素直に受け止めた方がその後絶対に伸びる。先程のケースも「なんだよ監督、全然準備の時間もくれないで、こんなんでいいピッチングなんて出来るわけないじゃないかよ」って、人のせいやその時の状況・環境のせいにするのは簡単だ。そうではなくて、「あいつ腰痛いからもしかしたら早めに俺の出番が来るかも知れないな、そこでいいピッチングすれば俺の評価はウナギ上りだぜって考えて、早めの準備をしておけば良かったな」って、結果を出す為にどうすれば良かったかを考えた方が次に生かせる。前者は愚痴を言っているだけで何も生まれないが、後者は反省をして未来に向いている。試合に出られることほど幸せなことはない。逆に出られないことほど辛いことはない。私は小学生の時はレギュラーであったが、中学生の時は控え投手だった。それを反骨心に変えて高校では背番号1を背負うことが出来たが、大学では1度もリーグ戦で登板することは出来なかった。4年生になってマウンドを整備し、1年生にそのマウンドを使われる。その屈辱と、情けなさと、悔しさと…、きっと一生忘れない。1年生の時は理不尽な上下関係に耐え、来る日も来る日も打撃投手をこなし、4年間積上げてきても、甲子園で活躍したVIP待遇の1年生投手がマウンドに上がるのだ。教え子となる我がチームの選手達に、出来るならば私と同じような境遇にはなってほしくない。そうならない為にも、いつどんなチャンスが自分に舞い込んでくるか分からないから、それが来た時に後悔しない毎日を過ごしておいて欲しい。

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