123456TOTAL
東京和泉リトルシニア10121611
杉並シニア1001204
杉並シニアの皆様、ありがとうございました。

 6回コールド勝ちで敗者復活2回戦突破を決めた。見事だった。選手達の成長に、ただただ感心するばかりだ。

 「お前達の試合に挑む熱で、このグラウンドを日本一熱くしろっ!」と伝えて送り出した。オープン戦からずっと取り組んできた、「心と身体をしっかりあたためて試合に入る」ということを、初戦の大田シニア戦、先週の江戸川北戦に続き、この杉並シニア戦でも3戦連続でちゃんと実践してくれた。高いモチベーションで試合に入ることが出来た。そこの部分に関してはもう選手達自身で出来るようになってきている。要するに本物になってきたということだ。士気を高めてくれているキャプテンを褒めてあげたい。我がチームは新3年生が13名、新2年生が11名と人数は決して多くない。24名全員がベンチ入りしている。それでもその1人ひとり全ての選手が戦力であり、心を1つにしてそのエネルギー全てを全力で相手にぶつけていけば、人数の多い強大な相手にだって勝てることを証明して見せてくれた。私の理想とするチームのカタチがこの試合では見られた。そして何より楽しそうにやってくれていることが嬉しい。選手達はきっと大きなプレッシャーも感じている筈なのに、野球というスポーツで真剣勝負することを存分に楽しめているのではないだろうか。野球はスポーツである。まず楽しくなきゃ意味が無い。

 さらにもう1つ。チーム活動理念でもある「考える能力を養う」という部分においても、選手達の確かな成長が見られた試合となった。4対1と3点リードで迎えた4回裏の守り。連打で1点を返され4対2となり尚走者3塁の場面。ベンチから内野陣に、「もう1点とられるのは仕方ない。前進守備はせずに、確実にアウトを1つ増やそう」というポジショニングの指示を出した。次打者の放った打球は投手のグローブを弾き、ショートへ緩めのゴロが転がった。3塁走者はそれを見て本塁へスタートを切った。ショートはゴロを捕球しながらその3塁走者の動きを確認し、咄嗟にバックホームを選択。間一髪タッチアウトとなった。チームのピンチを救うビックプレーだった。私も思わずベンチで「すごいっ!」と声が出てしまった。打球が放たれる前は、基本内野ゴロはオールファーストの指示。「1点犠牲にする代わりにアウトを1つ増やそう」という守備隊形を敷かせた。にもかかわらず咄嗟の自分の判断でバックホームを選択し、見事生還を阻止したのだ。本能的なものだったかも知れないが、ゲームノックやオープン戦の時から「例え前進守備隊形を敷いていなかったとしても、時には瞬時の自分の判断でバックホーム出来るようになれ」と、コーチがよく言ってくれていた。それをこの大一番で選手がやってのけた。ただ監督・コーチの指示通りに動くだけではなく、勝とうとする選手の強い意思が生んだプレーだったように思う。他にも相手投手の癖を見抜き盗塁を成功させたり、「勝つためにはどうしたら良いか」という選手達の考えや意思が随所にプレーに現れていた。オープン戦の時にあえて「サインを出さない、ポジショニングの指示をしない」など、選手に考えさせる機会をつくってきた成果が少しずつカタチとなってきた。でも中学生でそれが出来ることは本当に凄いことだと思う。

 先発した新3年生左腕もよく投げてくれた。6回4失点と少し打たれてしまったが、四死球0というのは立派だ。だから4点で止まっている。そして私が分析するに、打たれてしまった原因こそが、彼の成長の証だと感じている。抑え込もうとし過ぎてしまっていた。「勝ちたい」という思いが強いから、「打たれてたまるか」という「心の力み」が「身体の力み」を生み、打者のタイミングを合わせやすくしてしまっていたのだ。でも今まで彼がそういう姿をマウンドで見せたことが無かった。どちらかと言うと「淡々と投げる」というのが彼の投球スタイルで、逆に「気持ちが入っているのかっっ!!」と怒鳴りつけたくなるくらいが常だった。でもこの大会に入ってからの彼は違う。そしてこの試合はよりその思いの強さがマウンド上から溢れていた。人間の「本気」はちゃんと伝わってくるものだ。ベンチに帰って来た時、「少し抑え込もうとし過ぎている。もう少し肩の力を抜いて、打たせて野手に守らせるというくらいの気持ちで投げてごらん」と彼にアドバイスしたが、でも正直、そんなこと中学生では難しい。「少し気持ちを落ち着かせてあげよう」と思ったくらいだ。むしろそういうアドバイスをしなくてはいけないくらい、ガムシャラに打者に向かっていっている彼の姿が嬉しかった。

 1試合通じて1度も相手に主導権を渡さなかった。流れがずっと我がチームにある感覚だった。だからその良い流れを切らないことだけを考えていた。流れが切れる時、それは牽制死、盗塁死、そしてダブルプレーである。だからいつもなら盗塁を仕掛ける場面も送りバントを多用した。2塁まで送ればライナーで飛び出したりしない限り、ダブルプレーが無くなる。そして無駄な牽制死や走塁ミスでチャンスを潰さないよう、ベンチから声を出して走者と状況を確認し合うことは、オープン戦からずっとやってきたことだ。「心を燃やして相手と真剣勝負をする」、「選手自身が考えて野球をやる」という、試合をする上で私がコーチ時代から長年思い描いてきたチームの両輪が、ようやくカタチになってきたことを実感出来るゲームだった。このゲームに勝利したことでまた来週、もう一度真剣勝負が出来る機会が与えられた。相手は江戸川中央シニアさん。東東京のビッククラブであり名門だ。そんな相手に挑戦出来る。こんな面白いこと他にあるだろうか…、いや、ないっ!絶対にないっっ!!こんな面白いこと他にあるはずがないっっっ!!!!!!

ページ最上部へ戻る