1 | 2 | 3 | 4 | TOTAL | |
---|---|---|---|---|---|
東京和泉リトルシニア | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
江戸川中央シニア | 4 | 0 | 3 | 4 | 11 |
「春関東一勝」という大きな目標を掲げて臨んだ大会であったが、残念ながらその目標達成はならなかった。敗者復活3回戦敗退という結果で春の大会を終えることとなった。ここまでの3戦で選手達の確かな成長を感じていたが、この試合に限ってはその力を十分に発揮出来なかった。いや、「発揮させてもらえなかった」という言い方が正しいか。それほど江戸川中央シニアさんは強かった。もともとその力に差があることは分かっていたが、その中でどうやって喰らい付き、勝つチャンスを掴めるか、1週間考え続けて出来る限りの準備をしたつもりだったが、思うようにはゲームを運ばせてはもらえなかった。
まずあの打線を止めないことには勝負にならない。とはいえある程度打たれることは覚悟していた。ただ「野球はいいバッターでも3割。10回打席に立って7回は失敗する」という考え方からすれば、ストライクを投げて打たせていればそんなに大量失点になることはない。だから「意識し過ぎずに、これまで3戦投げてきた自分達のピッチングをしよう」と、水曜日の練習からバッテリーには伝えていたが、投手の本能がそれを許してくれなかった。まずいいバッターは構えがいい。そしてどこに投げても打たれそうな懐の深さと、醸し出す雰囲気がある。だから「甘いところに投げたら打たれる」と本能的に察知する。そこで際どいコースに投げようとしてボールになり、カウントが苦しくなって結局甘いコースでカウントをとりにいって打たれるという悪循環に陥っていく。これまでの3戦ほとんど四死球を出していなかったが、この試合に限っては3回と3分の1で5つの四球を出してしまっている。ワイルドピッチやパスボールといったバッテリーミスも3つくらいあっただろうか。やはりストライク先行で四死球をなるべく出さない投球をするということは、強力打線が相手でなくても、トーナメントを戦っていく上で必須事項と言えるだろう。
その点、相手投手はテンポ良くアウトローにしっかりコントロールされたボールでストライク先行のピッチングを展開していた。決して手も足も出ないようなボールを投げるわけではないが、大怪我をしない投球をしていた。そして野手陣の守備力も高い。3回、我がチームの9番打者が右中間へ2塁打を放った。しかし、恐らく他のチームであれば3塁打になったであろう打球であった。ライトがもの凄い脚力で右中間を破られるのを阻止し、正確な中継プレーでセカンドクロスプレーになった。間一髪セーフとなり、その後内野ゴロの間に1点を返すことが出来たが、あのプレーのレベルの高さには驚いた。四死球を出さずに低めにコントロールして、大怪我をしない投球を展開する投手と高い守備力、そこにあの強力打線である。中学生のチーム相手ではなかなか負けないのもうなずける。でも決して諦めたくない。やはりどんな相手だろうが「勝負事に負ける」というのは悔しくて仕方がない。選手達にも「あのチームにはどうやったって敵わないや」なんて絶対に思って欲しくない。むしろこの試合を夏への原動力にして欲しい。せっかく厳しい敗者復活戦を2戦勝ち抜き、全国トップクラスのチームと対戦出来て、その強さを肌で感じることが出来たのだ。この経験を糧にしない手はない。
「春関東一勝」という目標を達成出来なかったということが、一番反省しなければならないところではあるが、この春の大会全体を振り返ってみると、ここ5~6年は感じることの出来ていなかった充実感を残せたことも確かだ。初戦の大田シニア戦は惜しくも敗れてしまったが、5点を先制されて敗色濃厚な試合展開から、1イニングで5点取り返して追い付いたエネルギーは見事であった。敗者復活1回戦の江戸川北シニア戦では、強風という悪天候の中、最終回に追い付きタイブレークの末勝ち切った。杉並ダービーとなった敗者復活2回戦では、私がこのチームでコーチをしていた時から理想としていた野球を、選手達が実現してくれた瞬間があった。そして江戸川中央シニアさんという強力なチームと対戦し、「夏4勝」という目標を達成する為の課題を明確にしてもらえた。ここまで「出来たこと、出来なかったこと」が明確になった春の大会が今まであっただろうか?そうなったのは選手達が心を燃やして、心を充実させて、真剣に戦ったからに他ならない。選手達に新チームがはじまった時からずっと言い続けている、「心と身体をしっかりと暖めて試合に臨む」ということをこの大会は全試合で実践出来ていたのではないか?試合をする上で当たり前のことかも知れないが、「モチベーションを上げる」って実はなかなか難しい。試合当日だけで何とかなるものでもないからである。その試合までにどんな毎日を過ごしてきたかで、その日の心が決まると私は思っている。「試合で活躍したい、絶対に負けたくない」と思って、日々真剣に努力してきた者であればあるほど燃えるのが試合だと思う。チーム内にはまだまだその心の充実度は個人差があるとは思うが、それでもチーム全体としては、4戦、みんな一丸となって真剣に戦ってくれたと思う。真剣に戦ったからこそ、課題も明確になったのだ。私はやはり性格上、選手達と一緒になって熱く戦いたい。冷静に采配をふるわなければならない立場ではあるが、男と男の真剣勝負をするのにまず心が燃えていないでどうする。夏までには、選手達はもちろん、私達監督・コーチ・スタッフも含めて、もっともっと熱いチームとなって最後の大会に挑みたい。